内容説明
第二次大戦が終わり、ベトナム人留学生ルオン・ディン・クアと結婚した信子。夫を信じ、ついていくと決めた信子は、子供が産まれるとまもなく、言葉もわからない、習慣も食生活もまるで違う夫の故郷ベトナムへと飛び込んでいった。独立と統一をかけた戦いのさなか、農業技師の妻として、5人の子供の母として生きる強さ。現地放送局のアナウンサーとして、サイゴン陥落の歴史的瞬間を伝える喜び―。戦禍のベトナムで暮らす人々の日常生活を知る貴重な記録と、国境を越えて本当の幸せをつかんだ日本人女性の人生回想録。
著者等紹介
中村信子[ナカムラノブコ]
長崎県佐世保市生まれ。第二次大戦中、日本に留学生として来日していたベトナム人と知りあい、終戦の年に結婚。その後、夫、子供とともにベトナムに渡る。のちに、社会主義体制をとっていた北ベトナムに入り、1962年、現地放送局で在住日本人向け放送担当のアナウンサーになる。’75年、日本語によるサイゴン陥落の一報を伝える放送が、海を渡り日本にも届いた
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感想・レビュー
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コニコ@共楽
6
先日、念願のベトナムに行って来ました。日程的にハノイに行く旅行を選んだのですが、このお話しで、ベトナムの歴史と生活が垣間見られて北と南の関係が少しわかった気がしました。クアと信子さんのような互いにとってのbetter halfな夫婦って素敵です。クアが亡くなるところは切なくて涙しました。2017/09/19
yendows
3
日本の敗戦からベトナムの独立戦争、抗米戦争の流れを日本女性の視点で地続きに味わえた。日本で博士号を取ったご主人のクアさんとの夫婦関係、お子さん達との関係が軸になっていているのもよい。粗放農業だったタンホアで畦をつくるところから指導する話。VOVでの話。北爆が激しくなっていく描写。読みどころが多い。2016/10/23