出版社内容情報
《内容》 人間行動に関する著書は多いが,特に医療に直結した人間行動を論じたものは数少なく,また大変に読みにくい.本書は医療に関係する基本的,かつ代表的な人間行動について,高度な内容は損なわず,なおかつ誰もが読み通せるようにわかりやすく書いたものである. 目の前にいる人のことが理解できなければ,行動学は生きた学問とは言えない.だから本書では,食べる,飲む,眠る,学ぶ,遊ぶ,そして息抜きする,といったような,およそ人間の振る舞いの根本と考えられるすべての行動をとりあげ,その理由と意味を書いている. 本書では人間行動の特徴を,大脳とくに新皮質の発達に集約し,学習と記憶,つまり理性や知性あるいは洞察力に求めている.経験の繰り返しは必ず学習を伴い,その記憶は行動を変化させる.その根拠は動物行動と比較することで明らかになってくる.行動学から見れば,人間は限りなく動物に近い生き物だと分かる. 医学,薬学系の学生はもちろんのこと,広く看護学科,保健学科,診療放射線学科,理学・作業療法学科,その他あらゆるコ・メディカルの読者のための「人間行動学のエッセンス」. 《目次》 第1章 ヒトと動物の行動 医療と行動の観察/人間行動の特徴-生得的および習得的行動-/自発運動活性-移所運動-/学習(習得的)行動の観察-ネズミの学校の先生-第2章 動物実験で見る学習・記憶 記憶の過程/刷り込み現象(imprinting)/受動的回避反応-明暗箱-/能動的回避反応(弁別回避)/迷路試験第3章 記憶障害 記憶の空白/老年期痴呆/痴呆に有効な薬はあるか/痴呆にならないために第4章 心と体の相関 プラセボ効果の不思議/外気功の行動分析第5章 言語行動 言語中枢と失語症/言語の効用/母国語と外国語/外国語の学習/私の外国語学習/外国語の学習方法/国際交流/医療界の専門用語第6章 行動のリズム 生体現象のリズム性/体内時計(生物時計)/マウスとラットの生活行動リズム観察/ヒトの行動リズムの乱れ/疾患と行動リズム第7章 睡眠行動と不眠症 睡眠の意義/正常な睡眠パターン/不眠症/不眠症の治療-睡眠薬-第8章 摂食・飲水行動 摂食行動/飲水行動第9章 排泄行動 日常生活と排尿・排便/トイレの必要性/排泄行動とトイレの様式/排泄行動の障害第10章 運動活性と万歩計 自発運動活性/万歩計(歩数計,Pedometer)/大学勤務時の歩数値/歩数値を左右する要因/休日と出張時の運動活性/現代人と運動不足第11章 薬物乱用行動 薬物の効用と乱用/薬物依存-慢性中毒との違い-/薬物依存のプロセス/依存性薬物/薬物依存の行動学/薬物乱用防止第12章 麻薬と覚せい剤 麻薬の定義は不可能/麻薬の語源と国際的規制/覚せい剤は麻薬ではない/離脱症状第13章 喫煙・喫茶行動 生活と嗜好品/タバコの急性作用と毒性/喫煙行動の背景と健康問題/喫茶行動と健康問題第14章 飲酒行動 日常生活とアルコール/飲酒の功罪/生体内アルコールの運命/酔っぱらい行動(酩酊)/飲めいないヒトと飲めるヒト(下戸と上戸)/アルコール関連疾患/アルコール依存症/酒との付き合い方第15章 全人的医療と漢方医学 全人的医療/漢方医学の歴史/漢方薬とは/随証療法/漢方の限界/漢方の副作用第16章 性行動と生殖 性行動と性ホルモン/性ホルモンの役割/内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)/特異な性行動/性行動と脳の役割第17章 バイアグラは媚薬か? 生活改善薬/勃起不全(ED)/勃起のメカニズムとバイアグラの作用/バイアグラの効用と副作用/バイアグラによる死亡例/いわゆる媚薬の効果第18章 医療事故の行動分析 さまざまな医療ミスの例/医療ミスの背景/医療ミスの防止/医療従事者自身の危険回避第19章 終末期医療 生と死をめぐって/緩和ケア病棟,ホスピス/除痛とモルヒネ/安楽死と尊厳死第20章 脳死と臓器移植 植物状態と脳死の違い/臓器移植/脳死の判定/臓器移植の問題点/臓器移植の実施数と生存率
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