出版社内容情報
《内容》 科学の進歩はめざましく,今や分子レベルで多くの生命現象が語られる時代である.筋感覚についても例外ではなく,その一部で分子生物学・分子生理学上の知見が増している.これらの情報はいち早く周知されなければならないが,各学問分野の人がそれぞれの専門領域に加えて筋感覚研究の現状を理解するには時間がないのが現実である.しかし,神経内科学・精神科学・整形外科学・理学療法学・作業療法学・看護学・獣医学・宇宙医学・生物工学などでは筋感覚研究の状況を把握することが必要不可欠である.本書は,筋を感覚器としてとらえ,筋感覚に関する膨大な研究の要点を系統立てて詳細に解説した日本で唯一の書であり,リハビリテーション医療従事者の基礎的な医学的知識として必須の内容を網羅している.教科書,副読本,研究書として,教育,臨床を通じて幅広く活用可能なものとなっている. 《目次》 1.筋感覚の世界(総覧)筋感覚の系統発生哺乳類の筋感覚感覚信号と神経線維感覚の強さを表現する信号固有感覚(proprioception)2.侵害(III・IV群)感覚信号系痛みは育てられる信号源痛みを起こす機序侵害感覚信号の脊髄への投射良い痛みと悪い痛み(炎症時などの)侵害信号の脊髄内上行路辺縁系・視床・大脳皮質での痛み信号痛みを和らげる機序運動とIII・IV群信号筋肉痛の病態3.II・III群感覚信号系信号源チャネル脊髄への信号入力屈筋反射(flexor reflex)II・III群感覚信号の脳への投射4.ゴルジ腱器官からの張力信号信号源信号の内容と役割感覚信号は3段階で変換される感度とその調節運動単位活動と信号総合された信号が生体機能に意義がある脊髄への投射脳への投射5.筋紡錘(I・II群)感覚信号哺乳類筋紡錘からの信号細かく動く筋部に筋紡錘は多い筋紡錘の構造筋紡錘の発生変性・再生・加齢変化筋感覚器は人生の履歴書である6.筋紡錘(Ia・II群)感覚信号の内容伸び感度と動的感度機械的伸張から信号が起きるまで3種の錘内筋活動で信号はどのように修飾されるか7.筋紡錘伸張信号の感度調節仕事に応じて器用にγ運動神経を使い分けている単一の筋紡錘活動を合目的に調節するのに,それを支配するすべてのγ運動神経が活動する必要があるc錘内筋支配のγs運動神経活動で静的応答は高まるが,b2支配のγs活動で動的応答が高まることがあるγ運動ニューロンの形態と機能的特徴種々の感覚信号でγMNは運動に必要な反射効果を起こす上位中枢からの感度調節随意運動中の感度調節β運動神経による感度調節自律神経は仕事の流れに沿って筋紡錘の感度を調節している8.筋紡錘伸張信号の中枢神経活動脊髄内で信号は上位中枢により選択され,特徴づけられる自己の筋へフィードバックするI群感覚神経活動拮抗筋間のIa反射回路II群感覚信号の脊髄内活動筋疲労中の単シナプス反射の低下信号の脳内での利用9.ヒトの筋感覚ヒトの腱感覚信号とその知覚筋感覚信号の微小神経電図(microneurography)緊張性振動反射大脳皮質経由の信号による運動制御筋知覚と脳活動ヒト脊髄切断後の筋感覚信号10.身体部位で違う筋感覚外眼筋口腔周囲筋頚・胸部の筋11.疾患における筋感覚遺伝的疾患中枢神経系の疾患脊髄疾患末梢神経系の疾患その他の疾患12.骨格筋内の血流と筋感覚信号骨格筋内の血管密度筋内血流は神経性にも調節されている筋内血流は液性にも調節されている筋内血流は代謝の影響も受ける静脈への影響の集積血流と筋感覚運動性昇圧反射とは皮膚と筋感覚
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