出版社内容情報
◆「片麻痺からの回復」を目指す患者さんに伝えたい、リハビリテーションの方向性◆
片麻痺になると、例えば、なぜ手が曲がってしまったり、踵がつかなくて足が内側に向いてしまったりするのでしょうか。そして片手と片足が使いにくいだけでなく、なぜもっとずっと不自由なのでしょうか。
片麻痺という自分の状態は一体どういうことなのかを知ると、片麻痺のリハビリテーションはどのような方針でどのようなことに意識を向けていけばよいのかがわかります。
傷ついた脳は、正しい学習方針を示されなければ、脳にとっては効率のよい単純で簡単な動きを選択します。しかしそれが、本人にとってはとても不自由な片麻痺という状態として現れるのです。
正しい学習方針の基本は「からだの声を聴くこと」。
自分の身体の重さや姿勢(身体部分の位置関係)などを感じられ、その自分の身体で外の世界の物の形や重さや方向や肌触りなどが感じ取れるか、そこからイメージを広げられるか(自分自身の記憶と結びついて生き生きとした経験となるか)どうかです。
★患者さんご本人のために★
「片麻痺は良くなるのだろうか…」
「これからどのようなことをすればいいのだろうか…」
片麻痺になってこれからどのようなリハビリをすればよいのか不安に思っておられる方、頑張って動く練習を繰り返しても自分で良いと思える変化のみられない方、
より良い回復を目指す方のためのガイドです。
「片麻痺」という今の状態は、不自由なことの原因ではなくむしろ結果です。つまり、片麻痺「だから」動けないというのはちょっと違うのです。
ではどうして思うように動けないのでしょうか? 本書ではその理由をわかりやすく説明し、「治療」を目指すリハビリテーションの方向性を示します。
そして患者さん自身で行うことのできる練習についても提案しています。
★セラピストのために★
「手が曲がっているのを直したい」
「踵がつかなくて足が内側に向いてしまうのを直したい」
「(左手では食べられるけど)右手で食べられない」
片麻痺の患者さんにそう言われたら、どう答えますか?
本書は患者さんやご家族に向けて、片麻痺という状態についてわかりやすく説明し、その内容ときちんと連続するリハビリテーションの方針を示しています。
そして患者さん自身で行うことのできる練習についても提案しているので、そこから治療の展開を考えてもらうこともできます。
患者さんの声に応えることが難しいと感じているセラピストの方にとっては、これから「麻痺を治す」ことを目指して患者さんと共に歩むために、大いに活用していただけるテキストです。
第1章 脳卒中になる前の、脳とからだの関係性~リハビリテーションの目標地点
自由に動けるとはどういうことなのでしょうか
・私たちはいつも「からだの声」を聴いています
・からだと脳はひとつながりの「システム」です
・「身体感覚」というからだの声が,自分の状態や外の世界を教えてくれます
・「注意」の力が,その時その場の意図を適切に実現させます
・脳のリハーサル(予測)は本番さながらです
・脳も,それ自体がシステムです
・からだもまた,システムです
・脳の中にも「からだ」があります
・「言葉」は感覚や動きともつながっています
・多様な感覚は一つになり,一つの感覚は多様に広がります
・道具はからだから脳に入り,からだは道具の先まで広がります
脳はいつでも「学習」しています
・日々学習,日々アップデートです~良いことばかりとは限らない
・学習を左右するのは意識の向け方です~「志向性」が大事
・脳は「痛み」も学習します~からだの声を聴き間違えることも
・脳で創られる情報は,とってもプライベート~「私」であること
第2章 脳卒中で傷ついた,脳とからだの関係性~リハビリテーションで考慮すべきこと
傷ついた脳が脳自身を守るための戦略~ネットワークの応急手当とその影響
・生きるための,機能の停止~こちらが傷つけばあちらも停滞
・「させない」ことは二の次~自然に強まる「反射」の動き
・脳の学習方針は「楽」で「手っ取り早い」こと~「私」にとっては都合が悪い
第3章 片麻痺のリハビリテーションの基本ルール
感じることが自分にとって都合の良い動きを創ります
・患者さんに守っていただきたい,ささやかなルール
・ご家族に協力していただきたい,いくつかのこと
第4章 生活の中でできること~思い通りに動くからだを創るために
自分でできる練習の提案
STEP 1 からだ全体の点検をしてみましょう
STEP 2 歩くための準備をしましょう~動きの基礎を創るために
練習1:仰向けに寝た状態で,できること
練習2:座った状態で,できること
STEP 3 手(上肢)を使う準備をしましょう~自分の手を取り戻すために
練習1:手のイメージを創りましょう
練習2:手の存在感を感じましょう
練習3:何かを触って, それを感じてみましょう
練習4:関節を動かして, 動きを感じてみましょう
自分の文化としてのからだの動き
中里瑠美子[ナカザトルミコ]
著・文・その他
目次
第1章 脳卒中になる前の、脳とからだの関係性―リハビリテーションの目標地点(自由に動けるとはどういうことなのでしょうか;脳はいつでも「学習」しています)
第2章 脳卒中で傷ついた、脳とからだの関係性―リハビリテーションで考慮すべきこと(傷ついた脳が脳自身を守るための戦略―ネットワークの応急手当とその影響)
第3章 片麻痺のリハビリテーションの基本ルール(感じることが自分にとって都合の良い動きを創ります)
第4章 生活の中でできること―思い通りに動くからだを創るために(自分でできる練習の提案;自分の文化としてのからだの動き)
著者等紹介
中里瑠美子[ナカザトルミコ]
1984年、東京都立府中リハビリテーション専門学校卒業。昭和大学藤が丘病院、同リハビリテーション病院勤務の後、東京都入職し、都立病院で勤務。2010年より慈光会八木病院、2016年より純正会名古屋西病院勤務。日本作業療法士協会会員、認定作業療法士。日本認知神経リハビリテーション学会理事、認知運動療法士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
-
- 電子書籍
- 腹黒御曹司は今日もマテない 1巻 メル…
-
- 電子書籍
- GO ANd GO 14 月刊少年チャ…