出版社内容情報
《内容》 股関節骨切り術の世界的権威であるRenato Bombelliが,自身の2500症例から得た知見をもとに書き上げた大著の全訳である.豊富な写真を駆使して股関節骨切り術の適応と真髄をあますところなく解説する.本書の大きな特徴は,自然の治癒過程は手術によって促進しうるという結論のもとにそれを数学的手法を用いて具体的に表現しているところにある.特に外反伸展,内反骨切り術の適応と禁忌に関する記述は極めて詳細で,著者自身の症例研究から論述する強みが発揮されている.本書に掲載された図版もすべて著者自身の症例から厳選されたものばかりである.図版資料としても本書の教育的価値は高いといえる.股関節症に対する治療には人工関節の置換術の適応が多い中で,人工関節の予後がまだまだ不安定なことを考えれば,骨切り術後に治癒した股関節は終生使用に耐えるという事実は,Bombelli が主張する本法の臨床的効果を雄弁に物語っているといえよう. 《目次》 1 緒論 1.1 骨棘の組織学2 正常股関節の静的および動的生力学 2.1 静力学/2.2動力学3 股関節症の生力学 3.1 荷重面の傾きが,力RとR1の分力の大きさと方向に与える影響4 股関節症の分類 4.1 病因/4.2 形態/4.3 生物反応/4.4 可動域5 上外側a),b)およびC)型関節症の病因 5.1 荷重面の前外上方ヘの傾き/5.2 骨棘6 上外側b),C)型および内側型関節症の治療 6.1 外反伸展骨切り術/6.2 外反骨切り術が膝に与える影響/6.3 上外側型関節症に対する骨切り術の成 績/ 6.4 内側a)およびb)型関節症に対する骨切り術の成績7 股臼形成術および骨盤骨切り術 7.1 手術手技/7.2成績/7.3統計 8 上外側a)型および求心型関節症の治療 8.1 内反および内反伸展骨切り術/8.2 内反骨切り術が膝に与える影響/8.3 成績/8.4 統計9 上外側d1)およびd2)型関節症の病因10 上外側d1)およびd2)型関節症の治療 10.1 d1)型に対する内反伸展骨切り術/10.2 d2)型に対する外反伸展骨切り術 11 股関節症の患者を診察するための注意事項 11.1 誤りを避ける/11.2 骨切り術と全人工股関節置換術の適応12 股関節に加わる荷重を減らす方法 12.1 重心(S5)を支持脚側へ移す/12.2 一本杖の使用/12.3 二本杖の使用/12.4 重りを持つ/12.5 結論13 まとめ14 付録:静力学と動力学の原理 14.1 静力学の原理/14.2 動力学の原理/14.3 Culmannの法則