内容説明
ブレイクは今日でも大きな謎に包まれている人である。彼はすぐれた叙情詩人であるとともに、不思議に人の心に残る神秘的な宗教画を描いた画家でもある。本書は、長年の研究の成果であるが、まずブレイクを彼の職業であった銅版画師としてとらえ、そこからさまざまな遍歴の過程をたどったものである。
目次
第1章 修業時代(「銅版画師ブレイク」;パースの素描学校その他;ブレイクが銅版画師という職業を選んだこと;師匠ジェームズ・バサイア;ブレイクの批判と立場 ほか)
第2章 銅版画師ブレイク(世の習いのままに―複製銅版画師として;トマス・ストザート;ジョン・フラックスマン;ヘンリー・フューズリ;銅版画の萌芽―原型的人間像;挿絵化の試みと「歴史画」の複製化 ほか)
第3章 この世の軋轢(「シェークスピア・ギャラリー」、あるいは取り残された銅版画師;銅版画の挿絵―ヤングの《夜想》;おせっかいなパトロンと動物たちの《バラード》 ほか)
第4章 「銅版画家」を求めて(理論の熟成;銅版画家として―《カンタベリーの巡礼》;最初の間奏曲―リトグラフ ほか)