内容説明
日本が浮かれていた時代、私はひとり、愛だけを頼りに、銃弾の雨が降る国に飛び込んだ。生きづらさと共にあった祖国での日々を捨て、愛する男の国にやってきた元高校教師の日本人女性。街中に死体が転がり、次々と知り合いが消えていく地球の裏側で彼女が見たのは、「非日常という日常」だった―戦火の中で授かった一人娘を抱え、世界をさまよった一家が行きついた先とは?
目次
第1章 エルサルバドルへ
第2章 2つの文化のはざまで
第3章 内戦下の日常
第4章 激動の中での出産
第5章 内戦と疑似平和
第6章 エルサルバドル再び
第7章 純粋無垢のひと
第8章 エルサルバドル最後の日々
第9章 逃避行の果ての国
著者等紹介
エスコバル瑠璃子[エスコバルルリコ]
1941年東京都生まれ。1964年聖心女子大学外国語外国文学科卒業、1966年同大学院修了(国文学専攻)。文学修士。聖ヨゼフ学園高等学校、聖心女子学院(白金)高校国語教諭、啓明学園高等学校国語科教諭等を務めたのち、1976年にエルサルバドルに渡る。日本人補習校勤務等を経て、1984年帰国。帰国後は幼稚園英語講師、自宅にて英語サークル経営等に従事。油絵では二科会千葉支部同人、二科展本展入選3回、二科展千葉支部展賞4回千葉支部展同人となる(現在退会無所属)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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安土留之
1
愛する男の国エルサルバドルに行き、内戦をくぐりにぬけた著者の気骨と優しさに感動。 家族の反対されて結婚、結婚を邪魔する恋敵との闘い、日本人社会で「原住民の妻」として扱われことなど、著者の潔いまでの気骨と矜持に胸がすく思いになる。 物乞いをする片腕の無い少年の「神様があなたに報われるように」という言葉に、自分にかわって神様があなたに報いてくれますように、との思いを感じる優しさ。 内戦の貴重な記録であるとともに、反骨心、矜持、そして優しいまなざしをもった一人の日本人の生き様があざやかに描かれている。 2024/06/25