内容説明
日韓現代史の悲劇。この歴史的事実からいま何を読み取るか?10歳で日本に連れてこられた韓国李朝最後の皇太子・李垠、政略結婚させられた日本の皇族・梨本宮方子女王。日韓のはざまで、歴史に翻弄されながら、二人はどう生き、愛を貫いたか―。
著者等紹介
張赫宙[チョウカクチュウ]
1905年、朝鮮慶尚北道大邱に生まれる。在日朝鮮人作家。日本名・野口赫宙。はじめプロレタリア文学の影響を受け、デビュー作「餓鬼道」などの初期作品では、朝鮮民衆の貧困と悲惨、闘争などを描いた。その後は徐々に純文学に移り、また「加藤清正」など豊臣秀吉の朝鮮出兵に題材をとった歴史小説や「岩本志願兵」などの軍国小説も発表した。1952年、日本に帰化した。『嗚呼朝鮮』が張赫宙名の最後の作品となり、その後は、野口赫宙の名で数々の作品を発表し、自伝小説、歴史小説、ミステリー、英文の小説など多様な作品を残した。1997年死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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南
20
お気に入りさんが読まれた本です。たしかに、読めない漢字が多く、ふりがながあったらもっとよかったなとも思いますが、夫婦愛がとても伝わるお話でした。菅野美穂さんと岡田准一さんのドラマもYouTubeで観られるので、時間のあるときに?。ドラマの題名は『虹を架ける王妃』。2018/09/10
YUTAKA T
3
朝鮮王朝の王族、英親王(李垠)の口述をもとに書かれた貴重な英親王の自叙伝。これだけの記録が残っていることが有難い。英親王の妻である李方子(梨本宮方子)の伝記よりも、さらに悲痛なものだと感じた。ほぼ幽閉された環境である。朝鮮に行くのも天皇の勅許が要る。東京の英親王を訪問した朝鮮の淑明女学校の生徒を前に泪を流したことまで不穏な様子として報告されるような環境だった。反逆することもできず、独立運動などまったくできない環境で、それでも立派に生きることが朝鮮王族の務めとして必死に生きた英親王の苦闘の記録といえよう。2021/03/06