内容説明
駆け出し新聞記者の白川由岐枝は、先輩の記者から受け継いだ自閉症の取材を始めたが、微妙な問題に直面していく。ある日、六本木の国立美術館で自分が興味をもった絵をじっと見続ける青年と出会う。後日、自閉症の学会に出向いた際、美術館で見かけた青年、精神科医の古谷信一郎に出会う。取材を続ける由岐枝は、自閉症者の起こしたバスジャック事件に巻き込まれていく。自閉症解明の手がかりになりそうな幼稚園の園長はその事件で亡くなってしまったが、古谷とともに、ある組織の誘導によって自閉症解明の世界へ足を踏み入れていく―。
著者等紹介
竹内願人[タケウチガンジン]
1950年生まれ。医学の世界に住して三十数年。医学論文、医学書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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キムチ
31
オランダ画派、オスターデ描くところの「学校の先生」が表紙。子供たちが一様に「大人の顔」をしている。この絵が持つメッセージを探ると云うところから小説は始まる。とは云うものの、およそ小説の手法とは離れ、「登場する人物はすべて実存」という現実の重い問題を提示してくれる。ところどころ挿入される事件の意味は摑みがたいが我が国に自閉症・発達障害の概念が広まって行き、普遍化していく流れを時系列に辿る事が出来る。もっとも、全くと言っていいほどこの世界を知らない人、特に偏見を持つ人には受け入れ難いかも。2014/09/15
とくま
3
×P14。2019/04/19
かつりん
2
タイトルに興味を持ち読みました。これは凄い。俺も子を持つ親だが、こらからの人達にも読んでもらいたい。物語としても面白いし次は下巻に。2018/08/14
ゆき
2
子供の自閉症に苦しむ親・それぞれの立場を取る精神科医や教育者、宗教者・そして社会への伝え方を模索する報道人。日本のこれからを考えさせられる本だった。小説というよりも理論書だったが、登場人物を設定したおかげで、難しさが半減した。テレビや早期教育により、親子関係が薄れている今だからこそ、警鐘を鳴らしたかったのだろう。自閉症や発達障害がこれほど多くなってきていると言われている現代。脳の先天的異常だけでは済まされないと思っていたので、強制学習、教え込み、選択制による「思考の剥奪」に関しては共感できた。2014/09/22
入江大和
2
えーと…小説ではありませんでした。作者はそれを目指したのかもしれませんが、あまりにも小説の形態から外れ過ぎです。いきなり、沢山の立場の育児書を延々と読まされるし、会話部分が脚本のような(あくまで、ような!です。ト書きさえない…)書き方になるし。それでも、下巻に行ってみます…2013/02/19




