阿片帝国・日本

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  • サイズ B6判/ページ数 236p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784763410344
  • NDC分類 210.6
  • Cコード C0036

内容説明

今日、薬物汚染が世界的に問題になっている。日本もまた例外ではなく、すでにその害は軽視できない段階に至っているが、日本国民の多くは、日本が薬物汚染問題では被害者の立場にあるとだけ考えている。たしかに、現在、あるいは戦後の時期に限定すれば、日本は被害者である。しかし、戦前まで視野に入れれば、当時、日本は恐るべき加害者であった。すなわち、日本は世界一の麻薬生産国であって、阿片・モルヒネ・ヘロインなどの毒物を大量に、かつ長期間にわたって中国や朝鮮をはじめとするアジア諸国に密輸した。その結果、アジア諸国民は、はかりしれない害毒を被った。しかも、戦後の日本は、そういった恥ずべき行為を真摯に反省するどころか、ひたすら隠蔽し続けてきたのだ。

目次

第1章 阿片を用いた日本の中国侵略
第2章 祇園坊の阿片密売レポート
第3章 満州国における阿片政策―謎の阿片特効薬・東光剤
第4章 阿片専売制の深い闇―後藤新平の阿片政策
第5章 モルヒネ密売を告発した日本人―阿片禁止の運動家・菊地酉治
第6章 大連におけるベンゾイリン不正輸入事件

著者等紹介

倉橋正直[クラハシマサナオ]
1943年静岡県浜松市生まれ。東京大学文学部東洋史学科卒業。東京大学大学院人文科学研究科博士課程(東洋史学)修了。現在、愛知県立大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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CCC

9
満州利権とは阿片権益の事だった。1935年の時点で、日本のモルヒネの生産額は世界4位。ヘロインとコカインは世界1位に達している。国内消費がさして多くないにも関わらず生産されていたこれらの麻薬は、中国に横流しするために生産されていた。以上が主な話。日本の悪徳商人っぷり、アメリカの潔癖さを強調する書き方が鼻についたり、中国他勢力や中国外との比較の薄さが気になったが、盲点だった問題や実態に目を向けさせてくれる意味で良かった。大日本帝国はヒロポンだけじゃなかったんですね~。2018/03/26

seichan

6
大日本帝国が植民地の台湾や中国で阿片専売をやってぼろ儲けしてた話。いや~、麻薬の専売は儲かるんだなぁ。このボロ儲けがあったから広大な中国で戦い続けられたんだろう……同時にボロ儲けできるからこそ中国から手を引きたくなかったのだろう。麻薬は支那の悪癖とか言ってたらしいが、江戸時代の日本とかには阿片吸引はなかったのかしらん? 実際に売買に携わっていたらしい人物の秘密日記が載っていて面白かった。これに関わった連中が後で財を成して、里見甫とかのフィクサーになったわけやね。2017/01/12

sataz

2
ちょっと飛ばし読み 西木正明の里見甫(検索してみて)を書いた本で知っていたけれど、戦前日本の非道とも言える阿片政策、阿片・モルヒネをばら撒いてその上がりを戦費にした、を研究者が自らの成果をもとに本にまとめたもの。話の組み方などうまくないし、資料も中々見つけられないようだが、やはりこういうことを知っておくことは大事だと思う。2019/11/24

Akio Kudo

1
★★★★★ 他の似たような本があるのが減点材料だが、内容は文句のつけようがない。十分すぎる取材内容が質をバックアップしている。台湾統治時代から阿片中毒者を活かさず、殺さず扱ってきたという著者の主張には一体、あの大戦の大義は何だったのかと考えさせられる。歴史の裁きを受ける機会はあるのだろうか?2017/10/04

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