内容説明
大震災、原発事故、そして感染症―日常に突然生じた亀裂が私たちの生の脆さを暴くとき、希望を語りなおすことはできるのか?当たり前の生活すら困難になり、すべてに疲弊しきった現代人が「ここではないどこか」を想像し、抵抗への一歩を踏み出すことは可能なのか。3・11後の路上に現れた政治実践から、今、私たちに本当に必要な“手の届く希望”を探る。
目次
はじめに―なぜこの研究を始めたのか
第1章 「抵抗」はなぜ想像不可能になったのか
第2章 「外部」を思考するということ
第3章 路上の想像力(1)名前のない個
第4章 路上の想像力(2)情動と反響
第5章 路上の想像力(3)運動の継承
第6章 抵抗の知性と希望
著者等紹介
田村あずみ[タムラアズミ]
1980年生まれ。立命館大学国際関係学部卒業後、新聞社勤務を経て、英国ブラッドフォード大学大学院博士課程修了。著書に「Post‐Fukushima Activism:Politics and Knowledge in the Age of Precarity」(Routledge、2018)。現在、滋賀大学国際交流機構特任講師、立命館大学国際地域研究所客員協力研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mc6ρ助
7
『果たしてこの運動は、日本社会を変えたのか。私には、この問い自体が有意義なものとは思えません。なぜなら私は、原発事故が暴いた非対称な構造を、少しずつでも変えてゆきたいと願う反原発運動の参加者のひとりだからです。「デモは社会を変えたのか」と運動の外側で客観的に問うのでなく、運動の内側で「私たちはどのように社会を変えてゆくことができるか」と問うてきたのです。(p164)』皆でそうできればよいのだけど、フクシマの水は永田町に噴水を作って東京オリンピックのときに撒けばよいと思ってしまうダメダメな爺さまなのでした。2020/10/29