内容説明
美容整形が「普通の」女性たちに広がっているいま、彼女たちは何をきっかけに身体加工を行っているのか?従来の社会規範や自己満足といった議論を超え、「日常的なコミュニケーションの位相」という新たなパースペクティブと多角的考察を通じて私たちの身体観に迫る。
目次
第1部 メディアにみる社会規範―広告と美容雑誌(美容の科学、自然との共犯―化粧品広告と美容雑誌の分析;老いという病、肌本来という幻想―ミドルエイジ女性向け雑誌の分析;女性の外見に対する社会規範―美魔女を事例に)
第2部 美容整形を受ける人々―動機・特徴・コミュニケーション(自己満足の発見と二つの問い;美容整形を望む人々の特徴―自分・他者・社会との関連から;他者とは誰か―女性同士のネットワーク)
第3部 美容整形を施す人々の論理(医師とクライアント;医師と医師―専門分野間の壁)
著者等紹介
谷本奈穂[タニモトナホ]
大阪大学人間科学部卒業、同大学院修了。博士(人間科学)。関西大学総合情報学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おさむ
36
高須クリニックの院長はじめ昨今美容整形外科ほどテレビ(CM含む)をにぎわせる職種はいないのでは。本著のテーマは面白いのだが、いかんせん学者の論文なので読みづらいのが難点。患者(クライアント)の心理分析よりも現場医師の証言をまとめた7、8章が面白い。「職人」という自負、心療内科ならぬ心療外科としての側面‥など本音がもれる。開業医系と大学病院系の2つの学会があり、統合が模索されたが、頓挫した経緯は初耳。自由診療はカネは儲かるが、医師としては格下に見られる。カネか名誉かのジレンマを抱える人達なんですな。2019/04/22
ケニオミ
8
日経新聞で紹介されていた、美容整形についての社会心理学系の本ですが、正直あまり期待していませんでした。しかしながら、美容整形を受けることにした動機と契機には、世間の常識とは外れていましたので、少し意外な気がしました。美容整形に興味のある方は是非読んでおくことをお勧めする一冊です。2018/10/08
haniokasai
1
1つのWebページにして理解しきれるほどの内容量。 「自己満足」についてはっきり理解できるわけじゃない。 テキストマイニングなんて使わずに、ケースを解体した方がいい気がする。2019/03/25
ちり
1
「『自然』のままで美しいことは称賛されるが、『より美しくなる』人工的な補正はよくないこととして断罪されるのである。従って、『より若くなる』という文言よりも、『もともと自然に持っていたはずの若さを取り戻す』という文言の方が、多くの人にとって素直に受け取りやすいと考えられる」 「美容整形は自己アイデンティティの再構築を目指すような主体的な行為として意識されるものではない。むしろ、美容整形を望む意識に寄与する項目は、『外見の老化を感じる』と『身体に関する社会の常識を守るべきという考えを持たない』ことである」2018/09/03
わす
0
同著者の『美容整形と化粧の社会学』をさらに掘り下げて、美容整形を希望する人の意識を深く探っていくもので、前作を楽しめた人にはおすすめします。統計分析によると美容整形を望む人は男より女、経済的な余裕がある、老化を感じる、自分を最重視しながら他者の評価も気にする一方で社会常識を軽視する人。年代や学歴、既婚or未婚はあまり関係ない。2024/04/02