内容説明
七三一部隊に多くの中国抗日活動家を送った罪で特別軍事法廷で裁かれた父―上坪鉄一。日中戦争の戦犯たちの「認罪」の記録は今を生きる我々に何を物語っているのか。戦争における「加害」の傷痕。人間にとって戦争とは何か。人が人として生きるとは、どういうことか。
目次
1 1945年8月15日敗戦
2 日本人戦犯たちの中国撫順での処遇と教育
3 日本人戦犯たちの「認罪」
4 中国から帰った戦犯たちのその後―「中帰連」の活動
5 日本軍が「満州国」で行ったこと
6 特高警察と憲兵の支配した「満州国」―関東憲兵隊
7 七三一部隊
8 「三光作戦」
9 父の行った戦争犯罪
周桂香先生からの手紙
著者等紹介
伊東秀子[イトウヒデコ]
1943年満州(現中国東北地方)生まれ。1966年東京大学文学部卒業後、東京家庭裁判所調査官を経て、3人の子育てをしながら1979年司法試験合格。1981年弁護士登録。1990~95年まで衆議院議員2期を務める。1995年に弁護士業を再開し、恵庭OL殺人事件などの刑事弁護、医療過誤・行政・労災事件等多くの民事事件に取り組んでいる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
23
弁護士伊藤秀子氏の父は日中戦争で多くの中国人達を731部隊に送った戦犯だった。その父たちが中国で行った三光作戦、毒ガス作戦、細菌戦、慰安所、上官から許された強姦殺害。伊藤氏の父は、どんな真面目な人間でも戦地では略奪し人を殺し女を見たら強姦する、といつも言っていたと言う。撫順で自分の罪を認めて悔いて刑期をつとめ帰国した戦犯たちを、日本では「殉教者ぶる」「洗脳者」などと新聞に書かれてしばらく公安の監視に置かれる。国の都合により戦地に駆り出され、戻ってきてのこの手のひら返しの、この国の冷たさ。背筋が凍る。2022/05/12
香菜子(かなこ・Kanako)
18
父の遺言 戦争は人間を狂気にする。伊東 秀子先生の著書。戦争が人間を狂気にするのか。人間が狂気で戦争を引き起こすのか。狂気の人間が戦争を引き起こすのか。どれが正解なのは誰にもわからないこと。でも戦争のせいで狂気になってしまう人がいることは確かだし戦争のせいで狂気の人間の数が増えることはあっても減ることはない。2022/08/15
takubon
1
作者は、知り合いでしたので読んでみようと思いましたが、副題の「戦争は人間を狂気にする」そのままでした。自分もその時は、こうなるのかと、、、 かなり重い本です。2016/11/12
rinpei
0
突っ込みどころの多い本だが、P231の「戦争は人間を狂気にする」「選挙区が悪くなると、ますます指揮官も兵隊も狂っていく。そして歯止めが利かない」は至言。普遍的な真実。日本に限ったことではないのだから、世界に向かって叫ぼうよ。2016/08/20
turbot_tank
0
いいわけにまみれ、自分という個人が具体的に何をしたかをまったく語れなかった人びとが、自らの罪を告白できるようになるまでの過程がたいへん興味深かった。2018/06/16