内容説明
里山をもう一歩深く知る。今も国土の4割を占める里地里山の自然と、私たちはどのように付き合ってきたのか。里山の小宇宙・湧水湿地とため池の魅力とは。
目次
第1章 里山へようこそ(谷戸という桃源郷;シラタマホシクサの咲く湿地;光るため池)
第2章 里山とはどんなところ?(自然と人工の間;歴史が里山を創った;語りからみる里山;高度経済成長が里山にもたらしたもの)
第3章 里山の異空間・湧水湿地(里山の中にある小さな湿地;記憶の中のシラタマホシクサ;湧水湿地の水を育てたうまい米;湧水湿地と人の関わり)
第4章 様々な顔をもつため池(水路の源にはため池がある;原風景としてのため池;ため池はどうして消えたのか?)
第5章 現代の私たちにとっての里山(里山を保全する意味;里山と付き合う)
著者等紹介
富田啓介[トミタケイスケ]
1980年、愛知県生まれ。2009年、名古屋大学大学院環境学研究科修了。博士(地理学)。現在、法政大学文学部地理学科助教。専門は自然地理学、特に地生態学。主な研究テーマは、里地里山における人と自然の関わり、ため池や湧水湿地をはじめとする生物生息地の保全・活用(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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izw
16
地理学専攻の著者は中学の時出会った写真集に魅かれ「里山」にのめり込む。個人的な体験から出発する本書は著者の情熱が伝わってくる。里山は自然のままではなく人による中規模の攪乱によって生物多様性が生じているという。湧水湿地、溜池という里山特有の地形の成り立ちについて丁寧に解説している。多数の人の話、昔話などから文化的重要さも説く。里山保全のスローガンを「竜の住む里山をつくる」、溜池が少なくなったことを「竜や大蛇ことレッドリストに掲載しないといけない生物だ」と表現する著者は、里山をこよなく愛する研究者だと思う。2015/11/10
読書実践家
6
ごんぎつねがいるような豊かな里山をどう守るか。人類のセンス・オブ・ワンダーが問われる。2016/02/06