内容説明
新聞、放送、雑誌、出版などのマス・メディアはかつて、法曹関係者に公正な裁判の実現を求める立場だった。犯罪被害者とともに泣き、報道を通じて社会正義を実現することを使命と考え、記事を書き、映像を撮影し、音声を録音した。しかし今は、味方だったはずの市民から裁判が起こされ、メディアが逆に、被告の立場に立たされる事態が急増した。最近では「報道被害」という言葉さえ生まれ、法曹関係者からは、「公正な裁判」を実現するため、事件・事故・裁判の道報を見直すよう迫られる事態にまでなってしまった。「裁判員制度」のスタートを契機として、事件・事故・裁判の報道は、その在り方を根本から見直さなければならないところにきている。本書は市民のための報道という立場に立ち、メディアと「表現の自由」、とりわけ「報道の自由」の在るべき姿を提示しようと試みている。
目次
第1章 国民参加と報道(裁判員制度;メディアと法 ほか)
第2章 報道の自由とメディア規制(裁判員制度・刑事検討会の議論;事務局のたたき台 ほか)
第3章 メディアの自主ルール(論議の再開;メディア側の指針)
第4章 司法関係の報道(事件・事故と裁判の報道;メディア各社の対応)
第5章 裁判員制度の実施(法曹三者との協議;新聞協会指針への誤解 ほか)
著者等紹介
土屋美明[ツチヤヨシアキ]
1947年生まれ。東京大学法学部卒。1972年、共同通信社入社。本社社会部で司法記者会、宮内庁、外務省などを担当。社会部次長などを経て1998年以降、論説委員と編集委員を兼務。2001年から2004年まで、政府の司法制度改革推進本部に設けられた裁判員制度・刑事検討会と公的弁護制度検討会の各委員を務めた。2003年から4年間、日本弁護士連合会「市民会議」委員。現在は法務省「司法制度改革実施推進会議」参与、日弁連法務研究財団理事、中央教育審議会専門委員(法科大学院特別委員会)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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