内容説明
タリバンがなぜ生まれ、一旦崩壊したのち、今またなぜ急速に復活しているのか?多数民族のパシュトゥンとは?世界最大の無政府地帯=パキスタン部族地域とは?パキスタンのタリバン化とは?…知られざるアフガンの歴史と現状をふまえ、安定化への方途を探る。
目次
第1部 前史―タリバンの誕生と崩壊(タリバン誕生;タリバンによるアフガニスタン支配;タリバンの置かれた国際関係;タリバン政権の崩壊)
第2部 タリバン復活と政府の統治機能の欠如(タリバン復活;カルザイ政権の機能不全;タリバン復活とパシュトゥン民族主義;タリバンとアル・カイーダ)
第3部 不安定化する隣国パキスタン(パキスタンの部族地域;不安定化するパキスタン)
著者等紹介
進藤雄介[シンドウユウスケ]
1964年、大阪府生まれ。1986年、東京大学経済学部卒業、外務省入省。在サウジアラビア大使館二等書記官、地球規模問題課首席事務官、在ドイツ大使館一等書記官、通常兵器室長、福井県警察本部警務部長などを経て、2006年8月から2008年8月まで国際情報官(安全保障、国際テロ等担当)。現在、大臣官房考査・政策評価官(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ののまる
12
2008年の発行なのに、いま、ここで予測された通りになってしまっている。2018/07/04
吟遊
12
報告書風の本で、緻密な内容。1990年頃から説き起こし、90年代後半〜をとくに詳しく書く。タリバン政権が崩壊したのち、ゲリラ的に復活してきた様子。2008年刊。2018/05/14
人生ゴルディアス
6
ソ連撤退から北部同盟によるカブール制圧の後のタリバンによる首都奪還、つかの間の平穏からのアルカイダによる9.11のとばっちり。踏んだり蹴ったり。本書だとアフガンのみならず、パキスタンについてかなり詳しく書いてあって、常に悪者っぽく見えるパキスタンのその苦悩も見えるというか。アフガニスタンとの国境の部族地域は事実上無法地帯だし、民族主義問題も絡んでいるうえ、そもそもタリバンのイスラム原理主義がパシュトゥン民族主義を土台にしている的な指摘など。もう一冊、最新の状況を踏まえた通史が出てほしいところ。2021/10/20
にゅ
4
2008年の本でちょっと古いものだが、タリバン周りについて非常にわかりやすく解説されており初心者にも比較的読みやすい部類。特に、パキスタンの部族地域やパキスタン政府の状況についてもしっかり掘り下げられていたのが良かった。アメリカにしてもパキスタンにしても、自分たちが生み出し支援したものが見事にトラブルの種になっててなんだかなぁ…という印象。2023/03/18
belier
4
タリバンの非難されるべき面、パキスタンの部族地域での活動について知識を補強した。引用文献が無いのが残念。信憑性を若干損なっている。2021/08/21