内容説明
夜が訪れ、猫はふわりと現れる。73年前のこと、戦後日本からフランスへ戻る旅の途中、NYで過ごした藤田嗣治は、児童文学者で詩人のエリザベス・コーツワースと、二人で夢のような絵本を作った。幻の名作、日本初出版。
著者等紹介
矢内みどり[ヤナイミドリ]
美術史家。東京に生まれる。慶應義塾大学で美学美術史学を専攻し卒業。その後、同学でフランス文学専攻卒業。卒論は「日本人の美意識と桜」「ユイスマンスの『さかしま』とギュスターヴ・モローのサロメ像」。目黒区美術館で約30年間学芸員として、藤田の挿画本の初の集大成である「レオナール・フジタ 絵と言葉展」(1988年)、「高野三三男アールデコのパリとモダン東京」展(1997年)、「山名文夫 永遠の女性像・装いの美学」展(1998年)など、他多数の企画・実施(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
169
73年前の幻の名作、日本初出版ということで読みました。猫だけの詩集は初読です。藤田嗣治の絵も、エリザベス・コーツワースの詩も素敵です。 https://www.kyuryudo.co.jp/shopdetail/000000002183/ 【読メ😻猫部】2023/11/07
榊原 香織
76
ネコ好きは読むべし。 藤田の猫の線描、素晴らしい!肉球、耳先、足の感じ、そうそうこうだよねー。 詩ももちろん猫を気高く歌っていて納得がいく。 元々は1950年に出版2024/02/28
ベル@bell-zou
26
暗闇に見えざるものを見ているかもしれない。夜のうち人知れずどこかへ出かけているかもしれない。何の迷いもなくひたと何かを捉えたかと思うとゆっくりと閉じていく謎めいた瞳。そうして私たちはまんまとファンタジーの罠にはまりその幸せに感謝さえするのだ。エリザベス・コーズワースの詩は猫への慈愛と敬意が伝わる言葉で様々に綴られる。藤田嗣治の描く猫は柔らかで繊細な毛並みや鋭い眼差し一見頼りなげなつま先に必ず出ている鋭い爪。猫の愛らしさと野性とが感じられる巧さに魅入る。詩と絵、モノクロのシンプルさが美しい一冊。2025/04/27
大粒まろん
23
猫を愛する2人の芸術家のコラボ作品。柔らかいタッチと寄り添う詩の母子の深い絆と愛情の豊かさに浸れます。コーツワース氏は、大学卒業後に日本も訪れ、そこから日本と猫の物語を描いてニューベリー賞を受賞した。2024/04/10
tom
20
藤田嗣治の画集かと思ったら、アメリカの詩人の詩に藤田が 猫の絵を提供したものだった。藤田の猫は、いかにも藤田が描く猫、なかなか可愛らしい。詩の方は、私にとっては面白さ・楽しさを感じることができない内容。もともと猫という種族、獲物を見つけたら、とにかく殺すということしか考えない(「ネコ・かわいい殺し屋」という本に凶暴さ、残虐さを書いていて、これに絶句した)。姿かたちは美しいけれど、私は好きにはなれない。ということで、丁寧に読んではみたものの、いまいち頭に入らないまま読了。2023/11/28