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内容説明
電線が縦横無尽に走る街の雑然感は、慣れ親しんだ故郷や都市の飾らないそのままの風景であり、ノスタルジーとともに刻み込まれた景観である。それはまた、岸田劉生、小林清親、河鍋暁斎、川瀬巴水、朝井閑右衛門、山口晃、阪本トクロウ…時代を越えて多くの画家が描いた景色でもあった。本書は、明治初期から現代に至るまで、晴れやかな近代化の象徴で、“東京”が拡大していく証で、モダン都市のシンボルであった電信柱、電線、架線が描かれたものだけを集めた作品集。マニア垂涎の碍子もアート作品として登場!
目次
晴れやか 誇り高き電信柱
晴れやか 誇り高き電柱―電気の光
富士には電信柱もよく似合ふ。
切通しと電柱―東京の増殖
帝都 架線の時代
伝統と電柱―新しい都市景観
災害と戦争―切れた電線、繋ぐ電信線
東京の拡大―西へ西へ武蔵野へ
“ミスター電線風景”朝井閑右衛門と、木村荘八の東京
碍子の造形
電柱とイメージ
新・電線風景
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
がらくたどん
30
最近は迷惑がられる事の多い電柱と電線ではあるが、それらは文明開化の証として、はたまた市井の馴染みある風景の一部として絵画に挿絵に描かれてきた。そんな「電線のある風景」画を一堂に集めた展覧会の図録書籍。高層建築物が少なかった時代、空には余白もたっぷりあって、にょきりと背高の電柱や余白を区切る電線は絵画の中でのびのびと見える。電信線と電線が運ぶ「繋がり」と「灯」に街に住む人々は守られて来たんだなと思う。地中化の意義に盾突くつもりはないが、恩恵の元が目に見えるのはそんなに悪くないな~という記憶の遺産である。2021/09/17
たま
25
川瀬巴水の電柱が気になっていて、偶然図書館で見つけたこの画集を手に取った。例えば巴水の『木場の夕暮』。暮れた空に立つ電柱が日本情緒を壊す-と見えてなぜか郷愁を誘うのだ。景観を損ねると悪評の電柱だが、敢えて電柱を描く画家がいるのだ。林清親の絵(表紙)では電柱は富士より高く聳え、佐伯祐三の下落合風景では電柱が灰色の空を背景に(ゴルゴダの丘の十字架の如き)悲劇性を帯びる。岡鹿之助の『燈台』では調和と均衡の画面に電柱が描かれリズムを作っていることに改めて驚く。電柱をも作品世界に取り込む芸術の力に感心するばかり。2021/08/13
遠い日
11
電線、電柱に特化した美術作品集。電気というものは、驚きをもって、しかも絶大な好意をもって万人に受け止められた新しい文明。空を走る架線を奇妙な目で見つめたであろう日本初の電線絵画はよくぞ描いてくださったという思いで観た。電線や電柱がある風景が馴染み深いものになっていく変遷がおもしろい。碍子まで絵になっているのが本当にすてき。2021/05/23
marua
4
今や景観を損ねるとか災害時に壊れると大変とか言われるようになった電柱だが、電気が通ったとき…明治じゃなによりも文明の最先端だった。こういう切り口の展覧会があったなんて、行きたかったー。山口晃がおめあてだったけど、川瀬巴水の凄さを改めて知る。雨の夜にぼんやり光る電灯の明かりに照らされる雨と電線。見事。碍子が採録されてるのもよかったー。2024/05/16
takakomama
3
練馬区立美術館の「電線絵画展 小林清親から山口晃まで」の図録。絵画や版画、漫画、刺繍、実物の部品まで、どれも電線や電柱です。こんなにたくさん、集められたものです。明治時代の電線や電柱は近代化の最先端だったことがわかります。現代では、電気のない生活は考えられないですね。2021/09/16
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