目次
横浜(Yokohama Days(pp.4‐11)
金沢八景 ほか)
絹(阿波人形浄瑠璃;絹の夢 ほか)
無垢(不知火の指;Innocence)
遺されたもの(Mother’s;Frida by Ishiuchi ほか)
著者等紹介
石内都[イシウチミヤコ]
写真家。群馬県生まれ、神奈川県横須賀市で育つ。“Apartment”で女性写真家として初めて第4回木村伊兵衛写真賞を受賞。2005年、母親の遺品を撮影した“Mother’s”で第51回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館代表作家に選出される。2013年紫綬褒章受章。2014年には「写真界のノーベル賞」と呼ばれるハッセルブラッド国際写真賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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スプーン
40
写真展図録。朽ちた物に写る苦しみと存在感。100の言葉より雄弁な一枚の告白写真。聴こえてくるのは沈黙の絶叫。生きた痕跡と確かな歩み。凄かったです。2025/03/13
紫羊
16
時代に取り残された風景や事物が、静かに語り出す声が聞こえるような気がした。2022/08/24
くまさん
9
いくつもの繊維が縒り合わさって一本の糸が出来上がっていくように、言葉たちもまた文脈のなかで絡まり合って一篇の文章に編み上げられていく。時間の隔たりを、あるいは距離を撮ることしかできないと石内さんは言う。被曝でよれよれになった衣服や、不知火の方々の皮膚の傷跡は、「遠さ」を感じさせると同時に、表面の微粒子やしみ・しわに限りなく接近しようとするあたたかな眼差しを思わせる。そこに生命の息吹はあり、生活の実質は根付いていたと語っているかのように。自分がつねに繊維にくるまれ、糸なしに生きられないことを実感する。2018/03/04
i-kom81412
1
1970~80年代に撮られた横浜の建物の写真群が全然古びていないのが面白い。石内さんのギャラリートークを聞いたことがあって、建物や服やモノを写すときも人間を撮っている、それは襞であり傷痕であって、すべてフィルム写真の持つ肌理に近い、傷痕にも傷跡にも肌理にも、身体と人生と時間のあり方が刻まれる、傷に悩む女性が、写真によって自分の傷を客観視できる、1945年8月6日の広島に自分がいたら私のものだったかもしれない服を撮る、といったお話を思い出す。個人的なことと歴史的なことを繋げて見せる写真作品。2018/05/04
林克也
1
ひろしま、不知火の指・・・・・・・この写真たちの存在感を前に言葉は無力だ。横浜美術館に見に行きたい。2018/01/17