出版社内容情報
香川県[カガワケン]
内容説明
江戸時代後期、高松藩主松平家のお抱え漆工を始祖とする香川漆芸。現代の人間国宝に「真似できん」と言わしめた玉楮象谷とは何者か?
目次
享楽の時代―技巧主義とマンネリ打破
破格の値段―豪邸千円の時代に七千円
生家はどこ―藤森神社隣、戦災で焼失
紅華緑葉堂―二階の物干し台は「実験室」
生まれた年―信憑性の高い一八〇六年誕生説
公園の銅像―親類の容貌見抜き、再現された銅像
金毘羅参詣―活発な様子、滑稽本も描く
父・理右衛門―鮮やかな彫りの技、息子へ
修行期の謎―京都で氷楽保全らと親交
保全の影響―保全の方法論学び、作風を確立〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
六点
104
香川漆芸とは日本の漆芸の主流である蒔絵ではなく、存清・キンマ・彫漆を中心とした漆芸である。江戸末期に玉楮象谷によって開かれた伝統工芸である。本書は香川県立ミュージアムで開催された、「玉楮象谷生誕210年~香川美術漆芸展」で、象谷の人生と作品を回顧するために編纂された書籍である。香川県の気合のこもった一冊とも言えよう。なにせ県知事と旧高松藩主末孫がそれぞれ跋文を寄せているのだ。作品は江戸末期の物に相応しく超絶技巧の粋とも言えるものである。彫漆は本歌もそうであるが、彫技の極致とも言うべきであろう。また、字数が2023/06/11
sofia
31
いつか読もう、読まねばと思いつつ、ちょうどよいときに読む。讃岐漆芸の祖、玉楮象谷の話。写真豊富で部分拡大も多く実際に見るよりもよく見える。蒟醤、彫漆、存清の3技法を極めた玉楮象谷にはよき理解者、代々の高松藩主がいたことがわかった。10代松平頼胤は親しかった井伊直弼にも水戸藩にも玉楮象谷の漆芸の品々を贈っている。買わないで図書館の本でごめんなさい。2024/01/21