内容説明
天才画家の意外な素顔。武家の血筋を受け継ぐ、絵筆で闘った侍!窮地を救い支えた人々との交流、知られざる暮らしが今、活き活きと蘇る。未発表の新資料、手紙、葉書が満載。
目次
1章 作品の系譜を問う
2章 青春の日々
3章 藤田家の人々
4章 フランク・エドワード・シャーマンと戦後
5章 最後のフランス暮らし(すべてを絵画制作のために;藤田家の食卓;作品―都市パリからキリスト教へ;藤田の作品論;展覧会の開催と出品;富永惣一による藤田嗣治論;フランス国籍をとる;妻・君代への愛情;画家の死;パリのアトリエを拡げる;パリでの社交生活;ヴィリエ・ル・バクルの田舎暮らし;病との闘い)
著者等紹介
矢内みどり[ヤナイミドリ]
美術史家。東京に生まれる。慶応義塾大学で美学美術史学を専攻し1975年卒業。その後、同学でフランス文学を専攻。卒論は「日本人の美意識と桜」「ユイスマンスの『さかしま』とギュスターヴ・モローのサロメ像」。目黒区美術館で約三十年間学芸員として、「レオナール・フジタ 絵と言葉展」「高野三三男アールデコのパリとモダン東京」展、「山名文夫 永遠の女性像・装いの美学」展など実施(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Willie the Wildcat
65
奥様との目黒区美術館訪問前の予習。遺された文献・手紙や評伝による氏の半生と人物像。大戦時を含め、世論に惑わされる心底の苦悩。物理的な日本との”断絶”にも関わらず、心底の精神的な日本への想いは不変という感。観賞の際は、”色使い”に特に注意したい。父・嗣章の後押しも印象的。日本の低評価は、子の才能を信じる親としても、忸怩たる思いだったと推察。因みに、日本食好きなのはいいが、購入リストに明星のチャルメラがあったのは微笑ましくも、当時を海外事情を踏まえるとわかる気もする。2018/05/16
s
7
大変な良著。読んだ藤田関係の本の中で最もストイックに藤田に迫ったもの。藤田の歌舞伎者的な仮面を剥いだ、素顔が覗けて、感動の一冊。ドラマチックな人生と本人の演出もあり、感傷的に語られがちな藤田を、ただ一人の巨匠画家として浮かび上がらせる、著者の率直で的を得た文章も見事。後書きの著者による「藤田嗣治とは誰か」への解答には、涙が止まらなかった。素晴らしい藤田嗣治の解体書。沢山の人に読まれますように。2015/09/16
takao
4
ふむ2022/08/07
yuzyuz_k
2
藤田嗣治の絵を始めて見たのはいつ頃だろう? 思い出せませんが、最初は印象が薄かったと思います。 作品を観ていくにつれて魅力的に感じるようになりました。そして、日本近代美術館で藤田の戦争画を見た時は衝撃でした。戦争はいけない。画家にこんなものを描かせてはいけないと感じたなぁ。と思い出しながら読みました。 藤田を知りたい訳ではない。ただ今後も感じいきたいので、購入しました。今度また観る際に少しだけ見え方が変わっているかもしれません。楽しみです。 本の感想と言うよりアート好きの戯言です。2025/11/01
ちゅうこ
2
藤田嗣治の日本での回顧展を企画したひとの本。絵を通して読み解かれている。彼はフランス美術史の偉大な画家のひとりで、ジャポニスムの最終形であると論じている。納得。それにしても本の挿絵や手芸まで膨大な仕事をしている。フランスへの帰化後も豪邸に住み、大統領のパーティに呼ばれるような生活だったらしい。また、軍人の家系に生まれた彼には戦争画は必然だったとも思う。映画は彼自身の存在への謎だった。ますます、興味深いひとだ。2016/02/26




