内容説明
生きるという冒険。大宅賞作家が10年にわたって追った誰にも似ていない10人の肖像。感動の人物ドキュメント。
目次
フェイシャルセラピスト・かづきれいこ―たかが顔、なんかじゃない
脚本家・中園ミホ―書かずには終われない
詩人・谷川俊太郎―詩人であることはやめられない
漫画家・槇村さとる―「おいしい関係」ができるまで
エッセイスト・向田和子―二つの「人生」を生きて
小説家・丸山健二―満開の庭から孤高の友へ
写真家・石川真生―沖縄で撮る女、米兵、自衛隊
料理研究家・ウーウェン―モンスーンアジアをつなぐ家庭料理
映画監督・西川美和―嘘も悪意も抱きしめて人間を撮る
写真家・石内都―傷ついたものたちの声を聴く
著者等紹介
梯久美子[カケハシクミコ]
1961(昭和36)年熊本市生まれ。北海道大学文学部を卒業後、東京の企業に就職。二年後に退社して編集プロダクションを起業し、雑誌や書籍の編集に携わる一方で、政治家、企業家、文化人など、数多くのインタビュー記事を執筆した。三九歳から文筆業に専念し、雑誌『アエラ』等にルポルタージュを執筆。2005年(平成17)年に上梓した単行本デビュー作『散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道』(新潮社)で第三七回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
テイネハイランド
14
図書館本。著者の本を読むのは「サガレン」に続き二冊目。初出は雑誌"AERA"「現代の肖像」(2001-2010)。著者自らが興味を持った10人への取材記事をまとめたものです。(1)取材準備が行き届いている。(2)文章のタッチが柔らかく、読み手をすんなりと取材対象に誘う。(3)ことあらば読者を啓蒙しようといったマスコミ出身ジャーナリストの持つ臭みがない。 こういう彼女の長所はこの本でもうかがえ、なかでも、谷川俊太郎、丸山健二、ウー・ウェン、西川美和の章を興味深く読みました。梯さんの他の本も読もうと思います。2021/05/22
kiho
13
各界で活躍している10人への深みのあるインタビュー⭐有名な方もいればまだその存在を知らなかった人も…梯さんは1人1人の生き方の背景にまで温かな眼差しを注ぐ…一期一会のインタビューでなく、寄り添って本当の言葉を聞こうとする姿勢が素敵だ♪2016/08/22
え
11
谷川俊太郎さんが佐野洋子さんとの別離の後、しばらく詩を書くのをやめていた…などなど、佐野洋子ファンなのでそのへんの話が興味深く手に取った本なのですが、10人の表現者のインタビューのどれにも、グッときたり。図書館本だけど返すのが惜しい(笑)。ウーウェンさん、かづきれいこさんのインタビューで涙が。西川美和さんの横顔が美しい。名前だけは知ってるひとも、名前も知らなかったひとも、少し立ち入れて良かった。著者は梯(かけはし)さん、読みやすく意味が掴みやすい文章が好きです。2017/07/12
ちいさな図書館
9
十人十色の生き方があり、それぞれが歩んできた道がある。たじろぐような迫力があるのに、それぞれの目線はとても優しい。本当の強さとは何かを見た思いがした。生きることは一筋縄ではいかないけれど、進んでいるうちにわかることもあるし、進むことで償い続ける想いもある。じわじわと力のわく良書。この声を届けてくれたことに感謝です。2014/10/09
ほうき星
9
『アエラ』の「現代の肖像」に掲載された10篇の人物ドキュメントです。私はこのような分野が好きで、エッセイや小説の間に読んだりしています。声を届ける…、何を?との想いから借りてきましたが、写真家、作家、フェイシャルセラピスト、脚本家の声とは…、何度もどきりとさせられる、生に溢れた言葉でした。自分自身の思い込み…沢山気づかされました。10人の中の一人の写真家さんの本を探そうと思いますが、作者の、他の作品も読もうと思います。2013/11/19