内容説明
名随筆『巨岩と花びら』『石の音、石の影』『大きな時計』をはじめ、『松本竣介』、晩年病により右手の自由を失ってからの日々、生と死に寄せる思いを綴った『生命の音』まで、全118篇収録。生誕100年記念刊行。
目次
巨岩と花びら
石の音、石の影
松本竣介
大きな時計
生命の音
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みみりん
9
まず舟越桂を知り父保武も彫刻家だったことを知った。その作品「聖クララ」の写真を見て表情に魅了された。実物の作品を全く見たことがないので見たい。昨年田沢湖を訪れたときたつ子像を見ればよかった。芸術館の作品を作る過程や目指していた若い頃を振り返る随筆は面白い。2025/02/01
学生
5
Eテレ 09:00~日曜アートシーン2025/01/12
nizimasu
4
彫刻家の舟越保武さんの文章は、どことなく素朴。それは文章にも現れている。釣りに行った先の花を愛で、学校では学生の真摯な姿勢に見とれるのもいい。クリスチャンでありながらアニミズム的な視点や職人気質ものぞかせる。なんとも誠実なたたずまいもまた作品の一部であると実感する2012/07/19
小谷野敦
3
エッセイストクラブ賞受賞作。最初のほうは、貧乏の話とかキリスト教の話、ダミアンの話などが多く、この人の伝記小説を書いたら面白いだろうなと思っていたのだが、後半になると、吉田茂の銅像を造ったとか、政治家の銅像を1500万円で引き受けてから断ったとか出てくるので、オヤオヤと思った。50歳過ぎてから出世した人らしい。イエズス会というのは日本を征服しようとした悪い組織だと私は思っているが、当時はそういう知識がなかったからね。2024/06/08
ナディル
3
彫刻家が、人生の時を、丁寧に、ごまかすことなく、自分の目で見、感じ、生き、愛した日々が限りなく愛おしく感じられる随筆集。若松英輔さんが「キリスト教講義」の巻末でこの本を推薦していて驚いた。船越さんはカトリックだがカの字も出てこない。それだからこそ推薦したのかもしれない。自分も今のこの時を慈しみたいと思わせてくれる一冊。2023/11/07