内容説明
種から育てたブナの木たちは、二〇年を経てついに花を咲かせた。小説家が樹木から学んだ、生きる命のあり方。
著者等紹介
丸山健二[マルヤマケンジ]
1943年、長野県飯山市に生れる。国立仙台電波高等学校卒業後、東京の商社に勤務。66年、『夏の流れ』で文學界新人賞を受賞。同年、芥川賞を受賞し作家活動に入る。68年に郷里の長野県の移住後、文壇とは一線を画した独自の創作活動を続ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あつひめ
44
作家さんが見つめる自然。作家になるにはやはりかなりの観察眼と自分の足元を見つめる力が必要なのかもと感じずにはいられなかった。ブナブナブナ…たくさんのブナという言葉が出てくる。ブナを主人公にしながらその生き様、生かされ方を人になぞらえたり。そして自然界の生き物はだれもだんまりではなくとてもおしゃべりだと言うこともこの作品を通して感じたことだ。人間もかなり厳しい環境で暮らしているけど、それは人間が巻き起こしていることでもある。それに自然の生き物は巻き添えを喰らっているかもしれない。一粒の種の力は侮れない。2012/08/16
有
23
普段は使わないような難解な言葉たちが、行儀よく整列してこちらへお辞儀をしているよう。最初はその仰々しさに恐る恐る踏み入るのだけれど、一文一文に触れているうちにふと視界が開ける時がくる。植物たちの沈黙にある生命力、表現のあまりの美しさに溜め息をつき、文章と行動のギャップに吹き出してしまうこともある。著者はこのエッセイで、庭や草木、鳥にカエル、あるもの全てを思索し、答えを導いてはまた思索する。人間という括りにとらわれず、物事を受け入れる広さ。自然を敬愛する姿。目前のものの本質を正しく理解せよ。格好いいです。2012/04/12
Lily603
4
★★★★ たまには読んだことのない作家さんの本を読もうと、たまたま縁あって購入した1冊。著者が自分の家にブナの木を植え、育てることを通して考えたことを、丁寧に言葉を選び、骨太に書き上げています。渋味がなんともいえず身体に沁みる文章。 * 『普遍性に彩られた昔ながらの真理というのは、得てしてうんざりするほど地味で、それを思い出すたびに斬新さを求めてやまない心が窒息状態に陥りそうになるものなのだ。いくら面倒でもやるべきことをやりつづけてゆくのが人生で、それをひとつでも怠ると相応のしっぺ返しを食らう羽目になる』2012/12/03
八丁堀
1
孤高の作家、怒れる作家丸山健二の実生から育てたブナから学んだ、生きる命のあり方を問うたエッセイ。「人間なんてばかばかしくてやってられねえよ」と存在の在り方を理不尽であり不条理である。地球から「もうお前たちとは理解しえない」と云う最後通告をつきつけられた人間。「執筆のみの小説一辺倒の暮らしであったなら、もう一人の自分と互いに傷つけ合い、とうの昔に狂気へと導かれ自殺と云うありふれた答えに飛びついたかもしれない。わが精神生活がブナによって柔軟で無限な広がりを得た」と。訳の解らぬ難解な言葉の嫌味さで一度は断念した2012/03/30
abby
0
★★2012/05/27




