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内容説明
心を澄まし日常の異界に遊ぶ謎の画家。全貌を伝える唯一の画集。“猫”との日々を綴った「タローの思い出」ほか、幻の随想多数収録。
目次
箱
玩具と絵本
アイスクリーム
初冬の森の斜陽
初雪の日の午後
冬近き日の風景
ハリストス正教会への道
函館風景
ハリストス正教会
室内〔ほか〕
著者等紹介
長谷川〓二郎[ハセガワリンジロウ]
1904(明治37)年、北海道・函館に生まれる。兄は小説『丹下左膳』シリーズの作者としても知られる林不忘として活躍。二十歳で上京。探偵小説誌に地味井平造のペンネームで幻想小説を発表。1931年、二十七歳でパリに留学するが翌年に帰国。その後、個展を中心に発表。1988年、死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
238
長谷川りん二郎は、1904年函館に生まれ、1988年に亡くなっている。この間、画壇とあまり交わることもなかったようだ。その死後に数々の個展が各地で開かれるなど、名声が高まったのは遅かったかも知れない。描く対象は様々ではあるものの、やはり静物画が多く、これが彼の画業の中心を占めているようだ。また、若き日々の作品から晩年にいたるまで、その変化が乏しいように見えることも特徴の一つに上げられる。そうはいっても、あちこちに模索の跡は見られ、例えばキューブを想起させるものがあったり、ルソーのようなフォーブ風のものが⇒2025/07/21
さくら咲く
10
絵画など美術館巡りが好きだがコロナ禍で足が遠のいている。そんな折、テレビで目にしたりん二郎の絵画に惹かれ画集を図書館より借りてみた。読み物としても興味深かった。かの有名な「猫」は知っていたが 薔薇、アネモネなど花の絵にはどれも惹かれる。不思議な印象を与えてくれる静物画、風景画もいつまでも見飽きない。画家デビューより「探偵小説家」としての方が早かったとはこの本で知り得た。詩人でもあり音楽活動もあり、天は二物も三物も与えたのだと。やはり自らの足を運んで実物を目の当たりにしたいものだ。2021/09/20
kuukazoo
9
柴崎友香の『百年と一日』の表紙に使われていた絵の作者である。気になって調べたら作品集があった。1904-1988。長谷川海太郎(牧逸馬/林不忘/谷譲次)の弟で長谷川四郎の兄。ミステリ小説を書いたりもしてたとか。ありふれたモチーフを具象的に描いているのに配置や背景の処理に独特の抽象性があって何か不思議な印象の静物画が面白くて好み。どこかモランディに似ている。エッセイも味わい深くて面白かった。2020/12/21
Maiラピ
5
当然だけど、この世界には知らないすばらしいものがすっごいいっぱいあって、わたしが生きている時間では全部出会うことは出来ない。なんか悔しいが仕方がない、それならそれなら出来るだけ出会う機会をつくって感動したい。初期作品の兎や猫と毛糸もかわいいなぁ、風景画もいいし、静物画もいい。でもやっぱりタローの絵は思わず背中を撫でたくなる。タローの思い出のエピソードは秀逸で奇譚ですね、ほんと。心がざわざわした時は<窓とかまきり>とかがいい。2010/06/11
ゆき子
2
猫の絵や静物画が、長谷川潾二郎を好きになるきっかけだったのだが、風景画の中の土の色や木の様子を見ていると、まるで薄暗い夢の中にいる気持ちになる。 良く見ると知らない場所にいるような、ぼんやりとした心地良さと漠然とした不安との狭間にいるような。2017/07/15