内容説明
精神分析の成果を自家薬籠中のものとした筆者が縦横に語り尽くした、アンソニー・ストー・エッセンス。
目次
チャーチルの黒犬―うつ病の理解にむけて
カフカのネズミ―家庭内暴力へのまなざし
ニュートン―科学者の言い訳
C・P・スノウ―父親のような照れ屋
オセロー―妄想から始まる不倫のゆくえ
高齢になってからの成長―定年の向こうに道を見つける
精神分析と創造力―音楽をきいて考え込むフロイト
神秘の暗示ゴールディング―理性という薄氷が割れる時
ユング パーソナリティの概念―自己をたがやす
精神分析が科学ではない理由―科学的姿勢と人間関係
象徴の心理学・調和および統合の象徴―音楽の贈り物
天才たちの健全さ
人間が凶暴になる理由―アンタたち、なんでそんなにヤバンなの?
開かれた社会における精神科医の責任―組織悪に与せず
著者等紹介
ストー,アンソニー[ストー,アンソニー][Storr,Anthony]
1920年生まれ。ケンブリッジ大学ウェンチェスター・カレッジ、クライスト・カレッジに学ぶ。1944年に医師免許取得。その後、精神医学を専門にして精神分析家としての訓練を積む。オックスフォード大学で精神療法を教えた。2001年3月17日に逝去
今井幹晴[イマイミキハル]
1947年生まれ。法政大学英文学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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袖崎いたる
13
比較心理というか比較神経症者学みたいな仕事。なんか知った名前だと思ったら蔵書にこの人の『ユング』があった。本書の内容でもユングはちょいちょい登場する。というかこの人はユンギアンのようだ。必ずしも革新的な知見を得られるわけではないが、人間にとって神経症は何かという意味はこのように考えるべし、といった覚悟への手引きにはなるかも。あるいは思考と感情の幸福な関係について。人によっては離人症のススメになるかも。小ネタとして面白かったのはニュートンが童貞だったこととフロイトの自分の文筆能力のビッグマウス及び音楽嫌い。2017/01/18
メルセ・ひすい
0
C.G.ユング 中年になってから、精神病、鬱に脅かされた。 ・ゲーテ ・シューマン ・フーゴ ・ルター ・トルストイ チャーチルの先祖には精神病者が二人いた。常に外交的直観型で大食、大酒飲み、運動好き、短足、胴長、頭大きく重い! 体型丸っこい。 才能とうつは紙一重だ−。チャーチルは「黒犬」、カフカは「ネズミ」とそれを呼んだ。創造する精神と障害をもつ精神との間のボーダーラインを見つめ、精神分析の成果を自家薬籠中のものとした著者が縦横に語りつくす。2007/07/29
メルセ・ひすい
0
9. 11 ★5 原題『チャーチルの犬』 ◎フロイト・・「満才能とうつは紙一重だ−。チャーチルは「黒犬」、カフカは「ネズミ」とそれを呼んだ。創造する精神と障害をもつ精神との間のボーダーラインを見つめ、精神分析の成果を自家薬籠中のものとした著者が縦横に語りつくす。足な人生を送っている人は想像力を働かせることはなく、不満を持つ人こそよく想像力を働かせると言える。想像力を生む内面的な活力は満たされることのない願望であり、どんな単純な想像であれ、それは現実に対する不満を実現すべき願望に置き換えたものである」。2007/07/19