内容説明
文豪と画家、知られざる魂の邂逅。日本の美を追求した芸術家同士の素顔がのぞく往復書簡、発見される。直筆書簡、東山魁夷作品、国宝級の川端康成コレクション、一挙公開。
目次
第1章 文豪と画家、魂の交流
第2章 東山魁夷―川端康成が見つめた風景画
第3章 川端康成―生涯をかけて求めた美の世界
川端先生との想い出(柳孝)
川端康成と東山魁夷 心の交流(平山三男)
二つの歌碑―展覧会プロデュースの軌跡(水原園博)
著者等紹介
川端香男里[カワバタカオリ]
財団法人川端康成記念会理事長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まさむ♪ね
49
なんと美しい。「響きあう」、ただひたすらに美を追い求めつづける二つの心。東山が一点の曇りのない清らな真心をもって門をたたけば、九つ年長の川端は最高の礼を尽くしてこれに応える。その逆もまたしかり。気品ただよう往復書簡から感じられるのは、友情よりも崇高な、研ぎ澄まされた精神のゆるぎない繋がり。この途方もなく美しい交流はしかし、川端の予期しえない死により、あまりに唐突に途切れてしまう。そのときの驚き、無力感、喪失感、茫漠とした悲しみが一息に流れ込んで来る東山の追悼文『星離(わか)れ行き』はわたしの胸をつらぬく。2016/05/11
3月うさぎᕱ⑅ᕱ゛
30
東山魁夷さんの作品と美しい文章が好きで手にとった本。東山魁夷さんと川端康成氏の往復書簡、東山さんの作品の数々、川端康成氏の国宝級のコレクションが多く写真で載せてあるのがとても魅力的で購入。川端康成氏が亡くなった後に東山さんが書かれた追悼文「星離れ行き」はとても素晴らしかった。川端康成氏の人柄や美への探究心を知ることができたことも嬉しい。題名の「響きあう美の世界」は正に的を得ていて、その世界を窓越しにそっと見つめて心穏やかに満たしてくれた本となりました。2016/03/03
ケロコ
27
先日、東山魁夷の絵画展へ出向いたときにお二人の交流を知り、図書館で借りて読みました。沢山の絵と二人の文通の書簡。こんなにも素敵な関係が有るのだと、ただただ感動して読みました。読みながら絵を眺め、考え、何とも不思議な穏やかで情熱的ながらも音の無い崇高な時間を過ごしたように思えます。この本は、購入しようと思います。感動の1冊でした。 お二人のご冥福を今更ながらも心よりお祈りします。合掌。2015/02/02
ykshzk(虎猫図案房)
19
お二人が家族ぐるみで親交が深かったとは。二人がやりとりした数多くの書簡の文面は、今の時代に見ると礼儀正し過ぎて堅苦しいとも思えるが、その根底には深く通じ合っているものがうかがえる。この人(川端氏)を満足させたい、この人に見てもらいたい、そんな気持ちが、画家の創作意欲を増す要素の一つになっていたのではないか、と思えるほど。作家は画家内にある「デモーニッシュな」面も発見する。川端氏自死の際、天草に居た東山氏はすぐに鎌倉に駆けつける。作家と画家としてではない、人間同士の交流が見える。沢山の図版と文章は美の共演。2021/06/30
スエ
4
2008年の展覧会のときの書籍で、2人が交わした往復書簡を中心に構成。かつて「大画家」を志し、新人発掘の名人と呼ばれるなど確かな鑑識眼を持っていた川端と、画家でありながら非常に優れた文章を書く魁夷。2人の交流は実に刺激的。2014/05/05