内容説明
ウツ気味の中年ヴァンパイアの俺が拾った少女は、「人間牧場」から逃げてきた赤い血のかよった本物の「人間」。その新鮮な血をいただくお楽しみを後回しにして奇妙な同居を始めたのだが、ガキを育てることの面倒といったら…そしてその楽しさときたら…！スリルでクール、滑稽でホロリとする、吸血鬼モノの「快作」、ついに日本上陸。
著者等紹介
ソズノウスキ，デイヴィッド［ソズノウスキ，デイヴィッド］［Ｓｏｓｎｏｗｓｋｉ，Ｄａｖｉｄ］
ミシガン州デトロイト育ち。大学で創作を教えたり、グリーティングカード会社や漫画家向けのジョークを書くなど、さまざまな仕事を経て作家になる。現在、ミシガン州テイラー在住
金原瑞人［カネハラミズヒト］
法政大学教授。翻訳家
大谷真弓［オオタニマユミ］
愛知県生まれ。英米文学翻訳家（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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星落秋風五丈原
52
表紙絵のお団子ヘアも初々しい七歳の少女がナイフをぐっさりと男性に刺す。えっ、こんなに幼いのに猟奇的殺人願望が？いきなりクライマックスのような場面が登場するが、当の刺された相手は至って落ち着いて語り手を務めている。なぜならば彼はヴァンパイアで、刺されたって死にはしないのだ。ましてや彼は永遠に続く人(？)生に倦み、少々ウツ気味だったという。まあ、何と贅沢な。そして何とワガママな。全世界にヴァンパイアを広めた第一世代のヴァンパイアである彼―マーティン・コワルスキこそ、今の世界を作ったというのに。2018/05/04
あたびー
41
#日本怪奇幻想読者クラブ ほとんど人間がいなくなった世界。吸血鬼たちは合成血液を飲んで暮らしている。そんな中吸血鬼マーティは、金持ち御用達の人間牧場から逃げて母親と隠れ暮していたちびっ子を拾ってしまう。母親は狩られた模様。自分の腹にパン切包丁を突き立てたその子イスズをマーティはどういう訳だか匿って育てることに。イスズにメロメロなマーティの描写が甘すぎて途中かなりの時間中断した。イスズが成長するとそれはそれで様々な問題が。つまり片親パパ奮闘記吸血鬼版ってわけ。2022/01/17
詩歌
19
彼が死の瞬間に感じたものは、自己愛。それが彼女と過ごす事で、迸る父性愛で満たされていく。原文は素っ気ないｱﾙﾌｧﾍﾞｯﾄだろうけし名前の由来は酷いものだけど、五十鈴と読みたい。いやもういっそ｢すず｣って平仮名で呼ばせて! 子は鎹と言うけど、すずはﾏｰﾃｨと吸血鬼の生を結い直した。吸血鬼主体社会、人間社会の遺物にきゅん死にするﾏｰﾃｨ。一方、人間には目新しい吸血鬼向け商品が、着せ替えﾌｧｯｼｮﾝｼｮｰの様で私を楽しませてくれる。チョイ役も魅力的で、法王と妹、父と伯父の挿話が好き。2015/02/05
ボーダレス
15
ハートフルな吸血鬼小説。舞台は近未来、人間は、ほぼ絶滅状態。裏社会に人間牧場なるものがあり、そこを脱走した母と少女イスズ。イスズは善人の吸血鬼に拾われて一緒に暮らす羽目に。ジャック神父や昼夜逆転の生活、キャラ立ち、環境設定など、よく練られたコミカル的育メンドラマのよう。近い将来、日本でドラマになるような気もする。2018/11/19
花林糖
15
本の厚さを忘れるほどとても面白かった。中年ヴァンパイア・マーティン（外見は21歳）が、人間の少女（イスズ）を拾い育てる子育て奮闘物語。脇役の牧師がちょっとお気に入り。2015/11/13
