内容説明
奇想天外なのに、意外とリアル。ハラハラするけど、楽しくてワクワクするけど、スリリング。読み始めたら夢中になって止まらない!おしゃべりで勇敢な12歳の少女、赤毛でそばかすだらけのカーリーが活躍する、ちょっぴり怖いけど、きっと、ハッピーエンドの物語…。
著者等紹介
シアラー,アレックス[シアラー,アレックス][Shearer,Alex]
イギリスの作家。1949年生まれ。30以上の仕事を経験したが、29歳のときに書いたテレビのシナリオが売れて作家活動に専念。14年間ほどテレビ、映画、舞台、ラジオ劇の脚本などを書いた後、小説を書こうと決心する。処女作は“The Dream Maker”。イギリスのサマセット州に家族と在住。16歳の息子と13歳の娘がいる
金原瑞人[カネハラミズヒト]
法政大学教授。翻訳家。大学のゼミで創作のためのワークショップを担当
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
136
魔女によって、自分の体を乗っ取られた少女を描く長編。プロットが巧みで、とにかく先が気になり、ページを捲ってしまう。この物語で一番惹きつけられたところは、老婆の体に囚われた時のカーリーの苦しみや悲しみだ。歳を取れば、誰でも心と体が衰えてしまう。その辛さを少女の視点から描くところが良かった。全体としてはハッピーエンドで後味の良い物語だが、英国らしいブラックユーモアも感じて、優れた物語を読む喜びに浸ることができた。2016/07/22
chimako
105
児童書ではずいぶんと話題になった本なのに未読。6月10日「時の記念日」にちなんでの選書で教わった1冊。これは魔法使いに体をとられた女の子が自分の体を取り戻すまでを描いたファンタジー。突然年老いてた体の辛さ。自分の言うことを誰も信じてくれないもどかしさ。友だちがいることの頼もしさ。どんな状況でも前向きになれる強さ。たくさんのことが盛り込まれたドキドキする物語。訳者は金原瑞人。言葉遣いの悪さに辟易とするところも、ゾッとするような意地悪さも金原さんらしいが好みではない。書名の意味は読み進めてわかる。2017/05/29
ヴェルナーの日記
104
『青空のむこう』と本作を読んで、作者アレクッス・シアラーは只者ではないと感じた。『青空のむこう』では、「死」をテーマに、本作では「老い」をテーマにしている。どちらも児童文学では、取り扱いが難しいジャンルである。それらをきわめて自然に(児童文学らしく)アレンジできてしまうのは、ひとえにシアラーの持つ感性の非凡ゆえであろう。少なくとも自分が読んで来た児童文学とは一線を画し、そのあふれ行く才能で、読者(僭越ながら自分)が嫉妬してしまう作品は他にはない。2014/11/04
Aya Murakami
96
地元の図書館が中学生くらいの年齢向けの読んでほしいと企画している1冊。中学生時代は10年以上前に過ぎ去りましたが手に取りました。 テーマは若い人が高齢者の苦しみや寂しさを経験して成長するといったところでしょうか?しかし同年代との交流もちゃんと用意されています。 老人を優しさとある種の軽蔑でもって扱う働き盛りの大人世代も怖いですが、ネオンの町にたむろして主人公に絡むヤング世代もなかなかの迫力でした。どっちの悪役(?)にもなりたくない自分です。2018/07/29
星落秋風五丈原
96
誰にも信じてもらえない、誰にも助けてもらえない。好奇心旺盛でお人よし、おしゃべり好きのどこにでもいるような少女が、知恵と勇気をふりしぼり、恐ろしい魔女に立ち向かおうとする。けれども、カーリーはあまりに「ふつうの女の子」で、見ているほうはハラハラドキドキ。危なっかしくてしかたがない。心配で放っておけないから、読み出したらもう途中で本を閉じることができない。ところが手に汗握って応援しているうちに、気がつけば読者までが、主人公と一緒になってすっかり魔女のわなに落ちてしまうのだ。2004/07/03