内容説明
もう若くはないが老人になるには少し間があるまだ一寸欲望も残っており幸いそれをコントロールする力もある人生で一番長く、そして楽しい中年という時間の伯父さん的生き方入門書。第一回モノンクル賞受賞作品。
目次
まえがきにかえて・コートのポケットから眺めた景色
ぼくの伯父さんの好きなこと、又は空想旅行
ぼくの伯父さんの長屋
ぼくの伯父さんのバス散歩
ぼくの伯父さんの、老人は未来の伴侶
ぼくの伯父さんの趣味、又は空想旅行
ぼくの伯父さんの遊園地
ぼくの伯父さんの大衆食堂、又は長い長いお医者さんのハナシ
ぼくの伯父さんの並木道
ぼくの伯父さんの自転車〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マッピー
17
詩人で写真家の沼田元氣が、伯父さんについて書いた文章と写真で東京を語り、さらには人生について書いたエッセイ。タイトルの伯父さんというのは、実在する人物ではなく、著者の中にある理想の日々の暮らし方を人格化したもの。伯父さんは伯父さんだけのこだわりがあり、それ以外のことには大概鷹揚なのだなあと気づくと、伯父さんのこだわりの一つ一つが愛おしくなる。楽しむことを義務にするのではなく、義務の中に楽しみを見つけられたらいいと伯父さんは言うが、なんとなくそれが幸せに長生きをするための肝のような気がした。2022/10/13
RYOyan
13
多分この本と出会ったのは、もう15年くらい前のこと。確実にあの頃よりも伯父さんの年齢に近付いた今、じわじわと伯父さんの精神的な豊かさが染み入ってくる。自由とか孤独って、本来、贅沢なものなんだよなぁーって。2015/11/15
ふろあー
0
架空の叔父さんの少し変わった東京暮らし。お金がなくても孤独でも楽しみはいくらでも見つけられそうという気持ちになれて心強い。バスから見える知らない街の風景を映画のようで楽しいと感じたりとか自分で見つけていた楽しみを他の人も見つけているって別に当たり前なんだけどうれしい。2013/10/20
ムレスナさん
0
昔はまった沼田元気さん。昭和を含んだようなノスタルジー溢れる色調や被写体の写真たちは、とにかく素晴らしいの一言。装丁も他にない凝りようでこの本の題材によくあっている。プラスチックカバーを取って読む度に、胸ふくらむ懐かしい旅情感が起こってくる。2010/09/15
cymbal
0
ノスタルジーは、一種のファンタジーだと思う。2008/07/17