出版社内容情報
西欧近代の流れの中で自明のこととされ,それに立脚し組み立てられてきた「心」の扱いに関し,正面から疑問を投げかける。
自明のこととされている「意識」とは,はたしてそれほど確かに存在するといえるのであろうか。本書は西欧近代の流れの中で自明のこととされ,それに立脚し組み立てられてきた「心」の扱いに関し,正面から疑問を投げかける。近代的な意識の成り立ちに関し,発生の源流にさかのぼりメスメルの存在を起点に丹念に検証する。
まえがき
1 意識の〈世界学〉へ――〈うぶすな〉からの狙いと語り
「意識」と臨床心理学
〈世界学〉と〈うぶすな〉の礎
個別事例から世界へ
2 境目に立つ男の挿話――メスメルについて
物と心の境目――心が物理的に運動する
宇宙と人間の境目――穴のあいた革袋
宗教と科学の境目――物質か想像力か
素人と専門家の境目――排除の理由
意識と無意識の境目――「革命」の手前で
付け足し
3「心の近代」の三筋の〆繩
・意識革命
〈意識革命〉の枠取り
〈意識一色流〉――「心理主義」という中軸
〈意識棲み分け流〉の強面分派――〈排他実証派〉の急進と限界
〈意識棲み分け流〉の弁え分派――〈認識批判派〉の〈白〉無意識
〈意識植え付け流〉――〈黒〉無意識の征服
〈意識革命〉三流・二派の見晴らし
・心の囲い込み
〈領域系〉の囲い
〈人間系〉の囲い
〈精神/物質系〉の囲い
〈心の囲い込み〉の近ごろ――臨床心理学と「科学的常識」
付け足し
・一つ掲げ
考えと下地
虚無への梯子
永遠の争い
振り返りと見晴らし
4 さらに考えてゆこう
あとがき
目次
1 意識の“世界学”へ―“うぶすな”からの狙いと語り(「意識」と臨床心理学;“世界学”と“うぶすな”の礎 ほか)
2 境目に立つ男の挿話―メスメルについて(物と心の境目―心が物理的に運動する;宇宙と人間の境目―穴のあいた革袋 ほか)
3 「心の近代」の三筋の〆縄(意識革命;心の囲い込み ほか)
4 さらに考えてゆこう
著者等紹介
實川幹朗[ジツカワミキロウ]
昭和24年千葉県に産まれる。昭和49年東京大学文学部哲学科卒業。昭和51年東京大学大学院文学研究科修士課程修了(哲学専攻)。昭和59年京都大学大学院教育学研究科博士後期課程満期退学(臨床心理学)。現在、姫路獨協大学法学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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