内容説明
やっていないことを、何故、やったと言うのか。虚偽自白の心理的構造を数々の冤罪事件を通して、詳細に分析する。
目次
第1部 問題の構図(三つの虚偽自白論;虚偽自白論のための二つの前提)
第2部 取調べの心的構図―二つの古典的事例から(拷問と自白―魔女裁判から;洗脳と自白―粛清裁判から)
第3部 刑事取調べの心的構図(わが国の刑事取調べの現状;もう一つの刑事取調べ)
第4部 自白への転回過程―「私がやりました」と言うまで(逮捕され勾留されて、取調べられることの意味;否認力動を低減させる要因;自白力動を高める要因)
第5部 自白の内容展開過程―犯行筋書の舞台に上がって(犯人に扮するということ;虚偽自白の内容展開過程の諸相;自白の維持と撤回―犯人演技の舞台を下りる)
著者等紹介
浜田寿美男[ハマダスミオ]
1947年香川県生まれ。1976年京都大学大学院博士課程(心理学)修了。奈良女子大学文学部教授
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感想・レビュー
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CCC
9
見込み捜査の硬直性と、パワーバランスが極めて傾いた被疑者と警察の関係が、虚偽でも自白した方がマシと思える状況を生む。被疑者への劣悪な待遇が判断力を奪う方向に働き、洗脳として作用する点は少し考えれば思い浮かびそうだが、今でも重視されているようには思えない。被疑者が検事の事を優しいと言い出すあたりも、ストックホルム症候群っぽい。反省したら許すの裏の意は、無実の人にはあまりに無慈悲だ。2018/04/09
だちょう
1
アイヒマン実験などを知っても、実際に自白したらやっぱりやったんだ、と思ってしまう人は多いんだろうな。今までの生活から隔離され、留置所に入れられて自分の行動を支配され、警察から毎日毎日何時間もお前がやったんだろうと言われたると、相手に迎合して自発的に犯人であるかのように演じ始めてしまうとのこと。数々の心理学の実験を見ているとなるほど確かに、と思えるのだけど、ニュースで犯人が自白した、と聞いているだけでは想像もつかない現実。しかし初めにこの本が出たのが1992年なわけですが、今でも全然改善されてないような…2015/02/15
ぴろし
0
新版とあるけれど、初版は別にあるのかしら?2015/01/16