内容説明
もう十年ほども前になりますが、『ウォーリーをさがせ!』(Hansford, M.著、唐沢則幸訳、フレーベル館、1987)という本がはやったのを覚えておられる方も多いでしょう。赤と白の横縞のシャツに青いジーパンをはき、ステッキをつきながら世界を旅するウォーリーなる人物を、人や動物や雑多な事物でごった返すさまざまな風景の中から見つける遊びです。このように、視野内の複数の対象の中から特定の特徴を持つものを選択的に抽出する動きを、視覚探索といいます。本書で紹介するのは、この視覚探索がどのような心理的過程に支えられているのかを、脳の活動と関連づけて調べようとした試みです。
目次
第1章 視覚探索に関する研究とその問題点(視覚探索に関する研究の概観;視覚探索に関する研究の問題点;認知過程の測度としての事象関連電位(ERP) ほか)
第2章 ERPによる視覚探索研究(ERPにおける視覚負荷効果と記憶負荷効果の分離;探索の自動化の程度がERPの視覚負荷効果に及ぼす影響;色選択の同時遂行がERPの視覚負荷効果に及ぼす影響)
第3章 総合考察(得られた知見;探索陰性波が反映する心理過程;今後の視覚探索研究の課題)