目次
序章 少子化の状況と少子化対策の必要性
第1章 未婚化はなぜすすむのか―雇用、出会い、価値観
第2章 夫婦の働き方と出生率の関係―夫婦の就労はどう変わり、それは出生率上昇につながったのか
第3章 父親の育児参加とハードワーク社会
第4章 少子化の国内地域差―地域に合った対策を
第5章 少子化の国際比較
第6章 日本の少子化対策―その特徴と問題点
終章 総域的な少子化対策―出生率回復と“自由な社会”
著者等紹介
松田茂樹[マツダシゲキ]
1970年生まれ。現職、中京大学現代社会学部教授。博士(社会学)。一橋大学社会学部卒業。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。専門、家族社会学、少子化論。委員等、これまでに、内閣府の少子化対策の会議である「ゼロから考える少子化対策プロジェクトチーム」構成員、「少子化危機突破タスクフォース」構成員、「少子化克服戦略会議」座長、および内閣官房「教育再生実行会議」有識者、内閣府「子ども・子育て会議」委員、厚生労働省「社会保障審議会児童部会」委員等をつとめる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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エドバーグ
7
子供をもつ世帯全てに、経済的な支援が必要。その財源は子供を持たない世帯に負担してもらう。なぜなら、子供がいないと社会が存続しなくなる それに貢献しない世帯が負担するのは当然である。(要するにただ乗りするなと理解)。 具体的には消費税増税、子育て世帯への所得税控除 子どもを持たない世帯への基礎控除縮小をあげておられる。 実現はほとんどNGとは思いつつ、移民を受け入れるか、本書で主張されるよう子育て世帯へ経済的支援を取り組む必要あるかと思いました。言い回しがわかりにくいですが、一読をお勧めします。2023/11/04
hurosinki
5
少子化は主に未婚化によるとし、その未婚化の主な要因は若年雇用の劣化、それも影響しての職域結婚の減少とする(仕事と子育ての両立困難を未婚化の主因とする主張は大きな影響力があるが、筆者はこれに否定的。学歴や職業的地位の高い女性の未婚化は説明できるが、そうでない女性(ex.非正規)や男性の未婚化は説明できないとする(p58)) 夫婦が希望する数だけ子どもを持てない最大の理由は子育て・教育の経済的負担で、不妊に関する理由がこれに続く(p83)(両立困難に関連する「仕事に差し支える」という回答は15%と比較的低い)2023/04/14
jackbdc
3
本書の特長は少子化の背景を単純化せずに丁寧に読み問いて抜本的かつ細やかな対応策を提案した点であるとのこと。納得感のある内容であった。特に、①地方に応じた施策、②在宅で子育てできる環境づくりには賛同。海外事例としてオランダに専業主婦文化があると知って驚いた。一方で少子化解消を政府目標とすることにはどうしても違和感あり。目的はあくまでも子どものため、子育てしのための環境づくりであって欲しい。結果として少子化が解消しました!ならば良いと思う。些細な事かもしれないが順番が違うという点はどうしても気になった。2021/05/03
Go Extreme
2
少子化の状況と少子化対策の必要性:少子化の進行 負の影響 少子化対策に求められる視点 未婚化はなぜすすむのか―雇用、出会い、価値観:未婚化 出会い・結婚意欲・配偶者選択 若年雇用の劣化 価値観と性別役割分業意識 夫婦の働き方と出生率の関係: 近代家族 家族構造変動論vs家族構造安定論 分業型夫婦、共働型夫婦、選好 父親の育児参加とハードワーク社会 少子化の国内地域差―地域に合った対策を 少子化の国際比較:4大要因の分析結果 日本の少子化対策―その特徴と問題点 総域的な少子化対策―出生率回復と自由な社会 2021/04/10
Anywhere
0
従来、女性の社会進出とそれに伴う仕事と子育ての両立困難が少子化の要因と考えられ、保育施設の拡充が図られてきた。しかし、筆者は少子化の要因は主に未婚率の上昇である。また晩婚化が出生意欲を低下させる。と結論。①若者雇用の劣化に伴う経済基盤の弱体化、職縁結婚の衰退、②仕事や結婚の価値観と性別役割分業意識が要因と結論としている。また、夫婦の出生意欲の低下要因として①晩婚化、②男女の高学歴化、③伝統的家族規範意識の弱体化。を挙げている。従来の少子化対策は、一部の共働き層にしかターゲットを当てていない政策であった。2023/05/14