目次
第1章 問題の所在―模倣とタルド
第2章 模倣の社会学理論
第3章 社会学理論を超えて―ネオ・モナドロジーと心間心理学
第4章 模倣と犯罪
第5章 マス・メディアと公衆
第6章 デュルケムとの論争
第7章 タルド社会学の受容と影響
著者等紹介
池田祥英[イケダヨシフサ]
1973年埼玉生まれ。現職:早稲田大学文学学術院非常勤講師。早稲田大学第一文学部哲学科社会学専修卒業。ボルドー第二大学大学院DEA課程修了、早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。専攻:社会学史・犯罪学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆえじん
2
群衆・公衆は社会学では基礎用語だろうが、確認ができてよかった.タルドは「公衆」=「読者」の意味で使う.雑誌の読者や新聞の読者.「群衆」はグループの境界が定まらない「物理的に触れ合うような」ひとの集まり.デモがそれだ.タルドにとっては「公衆」のほうが良くも悪くも可能性のあるものだった.「群衆」は複数のメディアの読者でありうるし、指導者により従う傾向があると考えるからだ.まあ現在のメディアは読者を指導するより、資本の論理に従うのだろうが...タルドの理論は現代版にアップデートされるべきだろう.その価値はある.2018/11/03
ハンギ
1
タルドの人生から、主要な思想までをコンパクトにまとめたもの。本書の思想面での内容を分けるとすると3つあって、1模倣について、2タルドの「公衆」概念について、3タルドの犯罪学、である。タルド自身は社会心理学という学問を始めた人のようだが、当時の第一線の社会学者との関わりはあったようだ。個人的には模倣もさることながら、公衆概念も面白い。(タルドの場合、模倣を基礎にして彼の社会学を作っているようだ)公衆とは新聞紙を手にした人たちのことであり、百年前にメディアと人の関わりを論じていたので、面白いと思いました。2011/05/11
すずりん
0
タルド社会学へ招待してくれる本。現在タルドが再評価され始めている理由の一端をネットワーク社会の構造に読み取ることが可能だと思った2014/07/16
ppp
0
模倣の法則が面白かったので、タルドの身辺を知るために購入。しばしばデュルケームとの対立関係が語られるが、ミクロとマクロの視点の違いのような気もする。議論の出発点を個人とは独立な社会心理か、あくまで個々の心理に設定するかの問題であり、それらが提供するモデルの正確さは、そう差はない(、説明の与え方がアド・ホックに感じられるのはタルドの方でだけど)。また、ロンブローゾとの関係も非常に面白かった。自由意志論に興味があるため、この方面にも手を伸ばしてみたい。2012/11/10
えふ
0
全ての身振りが模倣であることを起点にして個人個人(モナド)から社会を考えようとするタルドの社会学の可能性はまだまだ終わっていないと感じる。2022/02/07