内容説明
本書の第1章では、マスメディアの送り手研究とその研究の一環として「放送産業組織論」のアプローチの視点と課題について論述している。第2章では、放送の免許制度との関連で、地上波放送・有線テレビ・衛星放送のそれぞれの放送産業の発展過程をとりあげ、さらに、わが国の放送の「総デジタル化」についてとりあげている。また第3章では、地上波民放ローカル局の設立過程を具体的に事例分析することにより、「全国紙・キー局」の結合体が「ローカル局」を系列化する過程とその設立過程で果たした行政指導の実態、さらにそのような設立過程がその地域社会のマスメディア構造を形成することを論述している。第4章では、第1章の放送産業組織論のアプローチの視点と課題をうけて、新聞・放送産業の産業組織論的な構造分析を具体的に行うことによって、新聞・放送産業における集中・独占化の実態について把握することを心がけている。さらに第5章では、マスメディア活動によって形成されるマスメディア情報空間と、マスメディアを含めた多くのメディアの活動によって形成される情報環境について論述している。第6章では、放送のグローバル化として衛星放送の国際化と放送秩序の形成についてとりあげ、第7章では欧米における放送の変革について、イギリスにおける放送改革とデジタル化についてとりあげた。
目次
第1章 放送メディアの送り手研究の視点と課題
第2章 放送の免許制度と放送産業の発展
第3章 地上波民放テレビ局の設立過程とマスメディア構造―静岡県における「静岡県民放送」(現在の「静岡朝日テレビ」)の設立過程を中心として
第4章 新聞・放送における産業組織と集中・独占化
第5章 マスメディア環境論と情報環境論
第6章 衛星放送の国際化と放送秩序の形成
第7章 イギリスにおける放送改革と地上波デジタル放送への対応