内容説明
残業代不払い、最低賃金以下、突然の解雇、安全基準以下、社会保険未加入、団交拒否…どれも違法行為だ。これを「違法」にしないウルトラCがある。「労使関係はない」「これは労働ではない」として、最初から労働関係の法律を適用しないことにしてしまうのだ。本書では、「適用されない労働法規」という観点から、実効ある「働くルール」のあり方を考える。
目次
第1部 守られない働き方(「生きがい就労」には雇用のルールはなじまないのか―シルバー人材センターの問題点;福祉的就労に従事する障害者は労働者ではない?―障害者の就労と労働者保護;医師「聖職者」論がまかり通る病院―勤務医、研修医、大学院生の労働問題;違法な天引きや労災時の使用者責任はどこに?―新聞奨学生の労働問題 ほか)
第2部 労働法抜本改正、実効性のある「働くルール」の確立に向けて(労働法を無視する雇用慣行の広がり;労働者保護をめぐる国と使用者の責任;労働法の規制緩和と脱法形態の蔓延;個人請負労働者保護をめぐる課題)
巻末資料 ILO「雇用関係に関する勧告(第一九八号)」より
著者等紹介
脇田滋[ワキタシゲル]
1948年大阪市生まれ。龍谷大学法学部教授(労働法・社会保障法)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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富士さん
3
原田浩さんの稿を読みたくて手に取りました。3つぐらいのカテゴリーがいっしょに入っている感じがしますが、脱法労働という切り口から仕事を分類するというのが興味深い試みでした。個人的には、自由に働くという対価が必要な人もいると思うので、昔のような緩さがなくなった今、何でも現行の労働者の基準に当てはめるのはどうかなという感じです。労働の押し買い契約と考えて、不当な契約の問題に出来ればいいのになと思うのですが、一番問題なのは経営者と労働者が互いに不満を言い合い、合意を探る場と気がないことにあるのではないでしょうか。2020/03/18
大岡 孝之
0
「エグゼンプション」という言葉がピンと来ないのだが、”適用除外”。つまり労働法制を適用させない働かせ方。残業代未払い、最低賃金以下の水準の給与、突然の解雇、安全基準以下の労働条件、団交拒否、社会保険未加入などなどへ。コンプライアンスはどこに、という世界。NHKの受信料徴収の人がこの間うちに来たのだが、よもや「個人事業主」だったとは知らなかった。知っていたら色々聞けたのに・・・。生協の宅配でも地域によっては外部委託になっているんだって、へえ。音楽関係では「新国立劇場事件」で労働者性肯定の最高裁判決が今年の42011/10/03