出版社内容情報
東京都心、武蔵野台地と低地が交わる「きわ」に多く存在する坂道。坂道は交通や社会階層の境界となり、多彩な空間を生み出してきた。ブラタモリ出演8回の都市形成史家が、山手線内側に位置する7つの台地を舞台に、坂道を探訪。豊富な高低差地図と資料に基づき、江戸東京の坂道が土地利用にどう影響したか読みとく。
【目次】
はじめに
本書の舞台となる7つの大地─地形・古道・坂道─
■第1章 上野台地―寛永寺を中心とする海抜の低い寺町
1 台地のくびれにある絶景ポイントが一大行楽地に
2 台地東側斜面の寛永寺と子院をつなぐ坂の残像
3 京都東山を見立てた清水坂(きよみずざか)と弘法大師ゆかりの湧水にちなむ清水坂(しみずざか)
■第2章 本郷台地―湯島天神・神田明神の眺望を演出する高低差
1 本郷台地をえぐる6つの谷
2 森鴎外の住まいがあった団子坂とその周辺の台地崖線をめぐって
3 不忍池と上野の森を望む本郷台地東側斜面の坂道
4 変化する坂名の謎を読み解く
5 神田川開削以前に神田山があったころの原風景と坂道
■第3章 小石川・目白台地―地形が生み出す坂道と屋敷・寺社の濃密な関係
1 眺望と「いわれ」が織りなす小石川・目白台地南側斜面の坂道
2 急な崖にできた坂道と湿潤な谷地に潜む坂道
3 徳川慶喜と永井荷風が「日向(ひなた)」と「日和(ひより)」を愛した南側斜面の坂道
4 人や寺の名がつく小石川・目白台地内部に通された坂道
■第4章 牛込大地―地下水脈がもたらす坂道と湊の長い歴史
1 永井荷風が絶賛する坂道と外濠の風景から
2 紅葉川に下る庚嶺坂、逢坂、浄瑠璃坂はいつの時代まで遡れるのか
3 神楽坂以東の古い歴史を持つエリアに通された、湊と台地を結ぶ軽子坂
4 牛込台地の崖に突如あらわれた神楽坂
■第5章 四谷・麹町台地―江戸城と濠が織りなした多様な坂道
1 江戸城のふちを取り巻く坂道を巡る
2 遠景・中景を楽しむ九段周辺の4つの坂道
3 市谷御門に下る限られた坂道
4 千鳥ヶ淵に流れ込む川の痕跡にできた坂道
5 四谷の谷に寺が集団移転した時につくられた坂道
■第6章 赤坂・麻布台地―襞のように入り組む地形に刻まれた歴史と暮らし
1 台地上の大山道から谷地に潜む営みの履歴に刻まれた坂道の多様な表情
2 幽霊坂から名を変えた乃木坂と庭園樹木にちなむ檜坂
3 江戸・明治の歴史舞台となる南部坂と本氷川坂
■第7章 芝・白金台地―稜線からの眺望と三田用水によるダイナミックな庭園
1 芝・白金台地とその稜線をたどる三田用水
2 池尻大橋から目黒駅まで、三田用水沿いを歩く坂道めぐり
おわりに
参考文献
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- 電子書籍
- 婚約 講談社文庫