出版社内容情報
被害を抑え、被災後もこの地域で暮らし続けるための全国各地の実践集
2024年元旦に起きた能登半島地震は全国に衝撃を与えた。東日本大震災の教訓が生きて助かった命がある一方、地方都市・人口減少地域だからこそ避難生活と復興の状況は厳しく、被災後半年以上たった今も避難所生活者が続くなど、新たな課題が浮き彫りになった。地理的な特性や世界的な気候変動の影響で、日本における災害リスクは非常に高い今だからこそ、過去の大災害への対応をもう一度細かく振り返り、生かせるものは何でも使わなければならない。
日本の伝統的な集落はそれぞれの風土に適用し、暮らしと一体化した無理のない減災の知恵が、物理的な設えから文化に至るまで個性豊かに育まれてきた。時代が流れるにつれだんだんと失われてきたが、いつ起きるかわからない災害への備えにはこうした知恵がヒントになる。また、地震や津波を繰り返してきた日本だからこそ、かつての大震災と当時の状況をなるべく細かく振り返ることが、今後の備えとなる。
本書では、こうした事例を多数そろえ、細かく振り返り、コンテクストを裁ち切らずに、しなやかなに災害に向き合う取り組みを、ハード・ソフトの両面から、実践的な情報を踏まえて紹介する。
内容説明
自然災害を乗り越え、この地域に住み続けるための全国各地の実践集。風土に寄り添い培われた伝統の知恵から近年の大規模災害での対応、住民同士のコミュニケーションを含む未来への備えに至るまでハードとソフト両方の事例を多数紹介。人口減少や気候変動でさらに高まる災害リスクに立ち向かうまちづくり関係者必読の1冊。
目次
序章 日本の多様な自然環境と災害の関係性
1章 各地で培われた日常的な災害への備え(かわす;やわらげる;しのぐ)
2章 大規模な災害復興で見られたしなやかな対応(地域力が活かされた応急対応・滞在避難;復旧と復興に向けたビジョンをつくる;平時のまちづくりに取り込む)
3章 将来に向けた持続的な減災の取り組み(事前に復興の手立てを考える;地域全体で教訓を継承する;次世代の担い手を育てる)
終章 減災の社会実装に向けて
著者等紹介
鈴木孝男[スズキタカオ]
新潟食料農業大学食料産業学部教授。1971年秋田県生まれ。同志社大学大学院修了。博士(政策科学)。地域計画や農村計画を専門として、持続可能な農山村地域の暮らしや生業のあり方について、住民、行政らとの実践を通じた研究に従事している
菊池義浩[キクチヨシヒロ]
仙台高等専門学校総合工学科准教授。1978年岩手県生まれ。東北工業大学大学院修了。博士(工学)。岩手大学地域防災研究センター特任助教、兵庫県立大学大学院地域資源マネジメント研究科講師などを経て、2021年から現職。専門は農村計画、都市計画で、東日本大震災後は復興計画に関する研究に従事。釜石市東日本大震災検証委員会委員、新但馬地域ビジョン検討委員会委員などを務める
友渕貴之[トモブチタカユキ]
宮城大学事業構想学群助教。1988年和歌山県生まれ。神戸大学大学院修了。博士(工学)。東日本大震災の復興過程では、「失われた街」模型復元プロジェクトや気仙沼市唐桑町大沢地区の集落復興(2021年日本建築学会賞)を通じて住民を主体とした復興まちづくりに取り組む
後藤隆太郎[ゴトウリュウタロウ]
佐賀大学理工部建築環境デザインコース教授。1970年大阪府生まれ。佐賀大学大学院修了。博士(工学)。地域の自然・生活文化に立脚した住まい・集住空間の研究に従事
下田元毅[シモダモトキ]
大手前大学建築&芸術学部講師。1980年静岡県生まれ、広島県育ち。大阪芸術大学大学院芸術制作研究科環境・建築領域博士後期課程修了。博士(芸術)。風土建築設計集団主宰、大阪大学大学院工学研究科建築・都市計画論領域助教などを経て、現職
林和典[ハヤシカズノリ]
近畿大学生物理工学部人間環境デザイン工学科建築・地域計画研究室助教。1995年東京都生まれ、奈良県育ち。奈良県立奈良高等学校卒業、大阪大学工学部地球総合工学科卒業、同大学大学院工学研究科地球総合工学専攻博士後期課程修了。博士(工学)。独立行政法人日本学術振興会特別研究員(DC)を経て、現職。専門は近現代の地域形成史。特に林業木材産業に関わる地域を対象に、地域計画や災害対応への活用を日指している
江端木環[エバシモワ]
京都女子大学家政学部助教。1994年兵庫県生まれ。大阪大学大学院工学研究科建築・都市由画論領域博士後期課程修了。博士(工学)。尾鷲市地域おこし協力隊を経て、現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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