内容説明
ケアを実践する援助者は決して完璧な人ではないし、また、なれない。しかし、相手と接する態度は厳しく問われる必要がある。この人にかかわる基本的な態度を、ケアの基礎となる課題としてとりあげ、あるべき論ではなく、個々の援助者がケアを生み出すために必要な問いを本書では投げかけている。具体的には、相手をどのように受けとめたかを表わす聴く態度から始まり、苦悩できること、気持ちが動いて行動できる感性を磨く、スムーズには流れない時間を共有する、といった基礎となることを徹底的に検証している。この基礎となる課題を明らかにすることで、私たちは自分の持っている経験や知識を使うのではなく、自分を使うことで実践を大切にできる援助者になることができる。
目次
第1章 ケアを生み出す基礎とは
第2章 苦悩することから生きる意味が生まれる
第3章 対人援助力を基礎から高める
第4章 傾聴から対話できる関係へ
第5章 自分を、弱さを表わす
第6章 気持ちが動くと行動できる
著者等紹介
佐藤俊一[サトウシュンイチ]
1952年静岡県三ケ日町(現:浜松市)生まれ。1977年立教大学大学院社会学研究科修士課程修了。現在、淑徳大学総合福祉学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とわも
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これまでの支援の姿勢や考え方を改めて考え直すきっかけとなるような面白い本だった。「自分を使って」相手と向き合う、相手から信頼されることは相手を信頼することから始まる、自分を大事にする前に自分をまず提示して相手との共同作業で困難さに立ち向かう……といったようなことを本の内容からは受け取った。実際に支援をどうしていくかはその時々による(場当たり的ではなく)が、一回一回に感じたもの受け取ったものを理解しようと思った。よい関係ではなく、お互いを大切にする関係も、どちらがというわけでもなく兼ね合いも必要だと思った。2021/05/12