出版社内容情報
咆哮するブラス,炸裂するパーカッション,「春の祭典」は難所「いけにえの踊り」にさしかかった.指揮者は自信を持ってトランペットにフォルティシモのサインを出した.と,次の瞬間! ――暗譜で指揮する難しさ,「未完成」への熱い思いなど,N響を始め世界のオーケストラを指揮している著者が,楽譜との付き合いを体験に即して語る.
内容説明
咆哮するブラス、炸裂するパーカッション、「春の祭典」は難所「いけにえの踊り」にさしかかった。指揮者は自信を持ってトランペットにフォルティシモのサインを出した。と、次の瞬間!―暗譜で指揮する難しさ、「未完成」への熱い思いなど、N響を始め世界のオーケストラを指揮している著者が、楽譜との付き合いを体験に即して語る。
目次
1(永遠の「未完成」;「第九」の謎 ほか)
2(記譜法のディレッタンティズム;記譜法の現代病 ほか)
3(網膜へのフォトコピー;頭の中のめぐりそこない)
4(パート譜、パート、譜面;総譜書き込み過多症 ほか)
著者等紹介
岩城宏之[イワキヒロユキ]
1932‐2006年。東京芸術大学音楽学部器楽科中退。NHK交響楽団終身正指揮者。また、バンベルク交響楽団、王立ハーグ・フィルハーモニー、メルボルン交響楽団などで指揮者を務める。海外デビューは1960年。以後、ウィーン・フィル、ベルリン・フィルなど世界のトップオーケストラの客演指揮にあたる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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蘭奢待
47
またやっちまった。過去の読了本をそれと知らずに購入し、かつ、読み終えるまで気づく事もなく読んでしまった。しかもたったの2年前。 面白いからいいのだけれど。 楽譜にまつわるエッセイ。2019/09/30
日々珠
5
図書室の隅で黄ばんでいた本。説明会の準備の緊張感を和らげるために休憩したくて読む。もう読まれないだろう本に、大人になってからのものすごい勉強の話が載っていてもったいなくてしょうがない。せめて私が休み時間に読む。3ヶ月で春の祭典の暗譜など覚える苦労に気が遠くなる。岩城さんを尊敬した!ものすごく!2012/12/25
月華
4
図書館 閉架書庫から出して頂きました。1983年12月発行。1982年10月から1983年10月初出。詠めば読むほど、岩城さんの指揮の演奏を見てみたくなります。春の祭典の失敗エピソードは、慰め方がとても優しく感じました。2021/07/22
横丁の隠居
3
岩城さんの苦労話が面白い。日本のオーケストラ、現代音楽の草分け的存在だからご苦労も多かったであろう。「春の祭典」を振り間違える話は大変だなぁと思う。そのあとのメルボルン響の慰め方がなかなか泣ける話である。確かに暗譜で振るとかっこいいけどねぇ。「作曲家の中には、自分が書いた複雑な音を聴き分けられない人が、少なからずいる。」「初演の練習の時に作曲家は病気になってはいけないのである。」「世の中には、いろいろな演奏者がいる。はっきり言えば、おそろしくバカなピアニストもたくさん存在するのだ」等草創期ならではの警句も2021/01/03
もよ
3
もともとマリンバ奏者だった岩城さんがティンパニーを含んだ打楽器奏者を経て、指揮者となったためか、演奏者としての指揮者の鋭い視点で、楽譜や作曲者や独奏者を観察している。 失敗談や打ち明け話もいろいろ書かれており、とても楽しめる一冊でした。2014/01/13