内容説明
「ポスト・モダン」とか「ポスト構造主義」という言葉が聞かれるようになってから、すでにかなりの時間が経過しているが、そうした動向と心理学はこれまで一般に、ほとんど交差するところがなかった。しかし、心理学という学問が社会の中に根を下ろしているかぎりは、過去の歴史を見ても無関係ということはありえないのであって、そこに何らかの影響が生じて当然であろう。本書の鍵になっており、また、近年しばしば用いられてきている「構築」の語は、その両者の接点の役を担うものだと言える。ポスト・モダンの時代に、人間にかかわる諸科学を学ぶ人々の入門書。
目次
社会的構築主義とは何か?
人はパーソナリティをどこから手に入れるか?
言語はわれわれの考え方に影響するか?
言説とは何か?
権力をもつことは何を意味するか?
言説の外に実在世界は存在するか?
諸個人は社会を変えられるか?
人であることは何を意味するか?(言説使用者としての人;言語で構築された自己;言説における主体の立場)
言説分析者たちは何をするのか?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kounaien2
1
社会構築主義の概要を確認するために軽く呼んだ。 大学の図書館に置かれている本だが、かなり分かりやすく、そのため読み継がれているのだろう。セロテープで背表紙が補修されていた。2023/01/23
ぷほは
1
再読。非常勤務先でうまく教えれる自信なし。2015/04/12
む
0
欧米系の言説分析の概説書。ここで説明される言説とは、特定の出来事・人から任意の現実を構築するやり方の総体を指す。何かの方法論の紹介とかではなく、もっぱら理論の紹介であって、言説分析にコミットしたい人にとっては少し物足りない。というか総じて今では当たり前に感じる内容が多い。しかし、言説分析というものが、ポスト構造主義の流れから生じたものだということは、これを読んでとても勉強になったし、広い意味で政治的な戦略に結びつきやすいこともなるほどなと思った。2022/12/26