社会性発達支援のユニバーサルデザイン

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  • サイズ A5判/ページ数 289p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784760892419
  • NDC分類 378
  • Cコード C3311

出版社内容情報

乳幼児期から青年期の社会性発達の課題や支援について理論と実践を交え、困難な状況にある子どもたちを理解し支援する手がかりを示すおもに家庭・保育・地域・学校教育の視点から、乳幼児期から青年期の社会性発達の課題や支援について、理論と実践をまじえて考察し、困難な状況にある子どもたちを理解し、支援する手がかりを示す。

序 章 社会性・人間関係の発達と支援とは何か ?
 1.社会性とは何か ? ─適応スキル論を超えて 
 2.社会性の生涯発達─時間と生活の広がりの中で共に在ることの志向 
 3.未来の子どもたちの社会性 
 4.これからの新たな社会性の支援とは? 

第?部
乳幼児期 共に在ることを楽しむ
Introduction
第1章 共同行為の始まり─初期社会的認知発達と課題
 1.共に在ることの始まり─協同活動の発達
 2.生活の中での協同活動
   ─自立への過程としての協同活動と,協同活動自体の高次化
 3.初期社会性の障害 
 4.初期社会性の発達支援
   ─自閉症児に対する「ボール運びゲーム」による協同活動・情動の共有の発達支援
 5.おわりに

第2章 家庭での人間関係・社会性発達の課題と支援⑴
    ─ペアレンティングの理論と実際
 1.日本の子育て支援の状況
 2.養育者のコペアレンティング
 3.ペアレンティングはどのように子どもの人間関係・社会性に影響を及ぼすのか
 4.集団場面における子どもの人間関係と社会性の検討 

第3章 家庭での人間関係・社会性発達の課題と支援⑵
    ─虐待予防の観点から
 1.はじめに 
 2.日本における虐待の現状 
 3.虐待が起こる要因と背景
 4.現代日本の家庭における子育ての日常と育児不安・虐待不安 
 5.虐待予防とは 
 6.虐待予防を目指す子育て支援の基本的考え方と実際 
 7.家庭や社会における人間関係を育てる子育て支援・虐待予防 

第4章 家庭での人間関係・社会性発達の課題と支援⑶
    ─自閉症児に対する家庭基盤の支援
 1.自閉症児に対する家庭基盤の支援における基本的な考え方
 2.自閉症児に対する家庭基盤の支援の実際
 3.まとめと今後の課題 

第5章 保育の中での人間関係・社会性発達の課題と支援⑴
    ─協同活動,目的の共有,イメージの共有,集団の適応
 1.保育という環境における人間関係 
 2.社会性の発達─集団活動の共有 
 3.保育所や幼稚園における子どもの理解と支援
    ─集団活動を活かした支援と小学校への接続 
 4.保育の中における社会性の発達とはなにか 

第6章 保育の中での人間関係・社会性発達の課題と支援⑵
    ─保・幼・小学校連携・移行支援
 1.なぜ移行支援が必要か 
 2.特別な配慮を必要とする児童の移行支援
 3.移行支援のユニバーサル化

第7章 子どもの生きるフィールドから見えてくること
    ─外部リソース活用 out-reach 職種間の協働(学校・保育)
 1.“本格的”な研究者がフィールドやコミュニティに「在る」ことの難しさ 
 2.チームの一員になるための活動 
 3.組織としてはたらくための活動 
 4.ネットワークを築くための活動 
 5.研究者の関与のスタンスと役割・機能 


第?部
学童期 子どもたちのコスモス
Introduction
第8章 自由と規律:学校文化の中での社会性発達の課題と支援⑴
    ─小学生の社会性の発達支援の課題
 はじめに 
 1.幼児期から児童期への「社会性発達」 
 2.児童期における「社会性発達」の課題 
 3.学童保育と「社会性発達」 
 4.社会技能の習得と社会認識・権利意識の発達 

第9章 自由と規律:学校文化の中での社会性発達の課題と支援⑵
    ─ SST による社会性支援
 1.いま学校で何が起こっているか? 
 2.学校での社会性発達支援の今日的ニーズ 
 3.学校生活に必要な社会性とは 
 4.学校で行われる社会性発達支援の例 
 5.発達障害のある児童生徒の学校社会における課題 
 6.〈潜在的カリキュラム=暗黙のルール〉は教えられるか?
 7.学校での社会性発達支援の課題

第 10 章 自由と規律:学校文化の中での社会性発達の課題と支援⑶
    ─発達障害児への教室での適応行動の支援
 1.発達障害児と社会的行動 
 2.得意な回路を用いる行動支援バイパスモデル 
 3.社会的行動と行動支援バイパスモデルの活用

第 11 章 自由と規律:学校文化の中での社会性発達の課題と支援⑷
    ─小学校のインクルーシブな人間関係がもたらす包括的支援
 1.通常学級と社会性
 2.学級内で行われる社会性発達の支援の実際 
 3.学級だからこそできる社会性への包括的支援の可能性 

第 12 章 特別支援学校での初期社会的認知発達の支援
    ─「構造化」を超えて
 1.自閉症児の社会性を育むために 
 2.自閉症児の社会性発達を支援するには 
 3.自閉症児への体制化支援 

第 13 章 特別支援学級での社会性の支援
    ─支援の豊かさと多様性
 1.特別支援学級と社会性 
 2.たくさんの子どもたちとの生活の中から 
 3.関係の「広さ」と社会性の伸長 

第 14 章 「グローバル」と「地域」のはざまの子どもたち
 1.「子どもの放課後等」の議論の変遷 
 2.現場の状況とその課題
 3.望ましい方向性。そのために今必要なこと 

第 15 章 学童期の放課後の人間関係とその支援
 1.学童保育とは何か
 2.発達支援の場としての学童保育の役割 
 3.巡回相談事例から見る障害のある子どもに対する発達支援

第 16 章 社会性を支える教師集団の社会化
    ─学校コンサルテーションを通じた協働性の開発
 1.学校コンサルテーションと教育現場の協働性の開発 
 2.教師集団の協働性の開発を重視したカンファレンス 
 3.学校文化への協働の定着と般化 

第?部
思春期・青年期・成人期 繋がりの世界へ
Introduction
第 17 章 思春期の人間関係と学業
    ─「授業」に着目した学校コンサルテーションの実践
 1.はじめに―社会性発達の観点から見た 「授業」 の意味 
 2.授業を巡る社会性と対人関係の困難の様相 
 3.教育現場での社会性発達支援の実践─毎日の授業場面に着目して
 4.求められる社会性発達支援の視座
    ─授業に着目した学校コンサルテーションの展開 
 5.学校コンサルテーションにおける社会性発達支援の「観点と枠組」 
 6.おわりに 「授業」という窓から見た社会性発達支援の展望 

第 18 章 思春期の問題行動への発達的アプローチ
 1.荒れる学校・学級の問題行動をしない生徒がもつ問題 
 2.学校・学級の荒れと指導のダブルスタンダード化 
 3.学校・学級が荒れつづける仕組み
 4.思春期の問題の理解と対応
 5.関係の中の個人を捉える 

第 19 章 青年期の「居場所」支援
 1.「居場所」支援の社会的背景─人間形成にかかわる時空間の変容 
 2.子ども・若者にとっての「居場所」の意味と居場所支援の課題 
 3.居場所型青少年施設の登場と今後の展望─参加と共生の場の創出へ 

第 20 章 特別支援学校における就労支援
 1.特別支援学校の就労支援 
 2.就労支援の実際
 3.青年期の発達課題と支援

第 21 章 青年期・成人期の人間関係・社会性の発達の課題と支援
 1.青年期・成人期とは 
 2.青年期・成人期における自己との新たな出会い 
 3.人間関係の再構築に向けて 

第 22 章 青年期の就労問題
    ─ニート支援機関の実践から
 1.本章の目的 
 2.地域若者サポートステーションの支援内容と利用者の特徴 
 3.よこはま若者サポートステーションの支援内容と利用者の特徴 
 4.発達障害者の就労支援 

第 23 章 働くこと,暮らすこと
    ─労働と地域の中での社会性支援
 1.成人発達障害者にかかわる問題と生活支援
 2.発達障害者の就労支援─就労プロセスの困難さ
終 章 社会性発達支援のユニバーサルデザインのあるべき姿とその課題

 1.生涯発達としての社会性発達支援
 2.障害を超えた社会性発達支援のユニバーサルデザイン
 3.社会性発達支援のユニバーサルデザインを目指して 
索 引
資料1
 日本発達心理学会「発達障害」分科会発足にあたって 
資料2
 日本発達心理学会「発達障害」分科会・サマーワークショップ・テーマ一覧
 (1994 年─ 2012 年)と発達支援に関連する動き 
執筆者一覧 
編者紹介

長崎 勤[ナガサキ ツトム]
編集

森 正樹[モリ マサキ]
編集

高橋 千枝[タカハシ チエ]
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内容説明

今、求められる発達支援のユニバーサルデザイン化。健常と障害をスペクトラム(連続的)に繋ぐ、発達の広さと深さを、「社会性」「言語力」「身体・運動・情動」の3領域から考察し、困難な状況にある子どもたちを理解し、支援する手がかりを示す。

目次

第1部 乳幼児期―共に在ることを楽しむ(共同行為の始まり―初期社会的認知発達と課題;家庭での人間関係・社会性発達の課題と支援(ペアレンティングの理論と実際;虐待予防の観点から;自閉症児に対する家庭基盤の支援) ほか)
第2部 学童期―子どもたちのコスモス(自由と規律:学校文化の中での社会性発達の課題と支援(小学生の社会性の発達支援の課題;SSTによる社会性支援;発達障害児への教室での適応行動の支援;小学校のインクルーシブな人間関係がもたらす包括的支援)
特別支援学校での初期社会的認知発達の支援―「構造化」を超えて ほか)
第3部 思春期・青年期・成人期―繋がりの世界へ(思春期の人間関係と学業―「授業」に着目した学校コンサルーションの実践;思春期の問題行動への発達的アプローチ;青年期の「居場所」支援 ほか)

著者等紹介

長崎勤[ナガサキツトム]
筑波大学人間系教授。1984年3月筑波大学大学院博士課程心身障害学研究科退学。博士(教育学)。東京学芸大学教育学部を経て現職。日本発達心理学会「発達障害」分科会代表。臨床発達心理士。一般社団法人臨床発達心理士認定運営機構日本臨床発達心理士会幹事長。日本発達心理学会・常任理事、事務局長

森正樹[モリマサキ]
埼玉県立大学保健医療福祉学部准教授。2003年東京学芸大学大学院教育学研究科修了。修士(教育学)。社会福祉法人昴こども発達センターハローキッズ地域サービス課長、及び埼玉純真女子短期大学こども学科助教授を経て現職。臨床発達心理士。埼玉県特別支援教育推進委員会副委員長。埼玉県特別支援教育巡回支援員

高橋千枝[タカハシチエ]
鳥取大学地域学部准教授。2005年3月東北大学大学院教育学研究科博士後期課程退学。修士(教育学)。青森中央短期大学幼児保育学科を経て現職。臨床発達心理士。鳥取県教育審議会委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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