感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
三柴ゆよし
14
硬質な言葉の連なりによって、私と世界の成り立ちについて言及している。言葉を用いて起源に触れることに特有の幼児退行性というか、ふわふわしたところがないのが好ましかった。土俗的なイメージに寄りかかりすぎている気がしないでもないが、それは土俗をもはやイメージとしてしか捉えられない私方に問題があるような気がしないでもない。言葉自体に、すでにイメージとしての物語が付着している。「泡川(あぶくがわ)」連作が特によかった。2016/12/06
保山ひャン
1
粒来哲蔵追悼。毒と性が横溢する散文詩。別のところで駆動していた因果や法則が語り手に襲いかかったり、逆転したりするモチーフのバリエーションが楽しめる。生きるために歩く花とか、ボコボコにされる王とか、火葬の場所でバーベキューとか。よく出来た物語に感動なども。2017/07/20
衣魚
0
短い物語の連なりのような詩集だった。「闇は真横に拡がっていて、おれの足の置かれた場所だけが仄明るい。闇は張りつめた皮膜の如きもので、例えばそれには蛾の翅を思わせる感触がある。」2014/07/01