出版社内容情報
“だって、川柳に出会わなければわたしはとっくにこの世にいなかったのだから。”
東京のいわゆる「恵まれた」家庭に「女性として」生まれ、教育にたくさんのお金を費やされたのに、期待どおり「東大」に行けず、望まれた「バリキャリ」にもなれなかったわたし。人間関係もうまく築けず生活は破綻。ノンバイナリーかつアロマンティックだけど、そこに帰属意識も見出せない。心を殺して自罰的にしか生きてこられなかったわたしは、「私たちはモノじゃない、人間だ」「悪いのはあなたじゃない」というまっとうな言葉に、自分が救われることを許せなかった。
そんなわたしを助けてくれたのが、川柳だった。
“わたしの心には「自分が悪い」という考えが無限に湧き出る大きな穴が空いていて、これを直接手当てすることは難しい。一方、身体にはすぐに限界がくる。虚弱な身体を頼りなく思うこともあったけれど、身体は常に心の問題を「手当てができるかたち」にしようとがんばってくれていたのだ。/川柳も、わたしを「無限」や「永遠」の世界から救い出してくれた。「症状」と言うと語弊があるが、川柳も目に見えるし、有限だ。川柳はわたしが初めて手に入れた身体だった。”
川柳しながら経験する世界は、アナーキーで自由だ。本書は、自分には〈人間をうまくやれない〉と思わされてきた者たちに贈るエッセイ集であり、極私的な回復記でもある。
業界最注目の川柳人による、初のエッセイ集。
【目次】
まえがき
Ⅰ こころ
お題サイト哀歌
食卓の上の洗濯物
ワレワレハウチュウジンダ
代わりに忘れて
できのわるいロボット
Ⅱ ことば
ちっちゃいものクラブ
声をあてる
べつの呪文
いけフリ
アンコントロール
酢豚の目
川柳になりたい?
Ⅲ からだ
おしゃれ考
続・おしゃれ考
身体があるから踊るのだ
フェアリーゴッドマザー
手当てができる
モノがキラキラしてる
あとがき
引用文献・資料一覧
内容説明
「私たちはモノじゃない、人間だ」そんなまっとうな言葉に自分が救われることを許せなかった〈わたし〉を助けてくれたのは、川柳だった―。自由でアナーキーで極私的な回復記!
目次
1 こころ(お題サイト哀歌;食卓の上の洗濯物;ワレワレハウチュウジンダ;代わりに忘れて;できのわるいロボット)
2 ことば(ちっちゃいものクラブ;声をあてる;べつの呪文;いけフリ;アンコントロール;酢豚の目;川柳になりたい?)
3 からだ(おしゃれ考;続・おしゃれ考;身体があるから踊るのだ;フェアリーゴッドマザー;手当てができる;モノがキラキラしてる)
著者等紹介
暮田真名[クレダマナ]
1997年生。「川柳句会こんとん」主宰。「石になったの?」「当たり」「砕氷船」メンバー。NHK文化センター青山教室で「青山川柳ラボ」講師、荻窪「鱗」で「水曜日のこんとん」主催。川柳アンソロジー『はじめまして現代川柳』(書肆侃侃房)で最年少の川柳人として紹介された、Z世代のトップランナー。2022年に発売された第一句集『ふりょの星』(左右社)は、刊行されるやいなや注目を呼び、テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」ほか多数のメディアで紹介された(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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