出版社内容情報
注目を集めたウェブ連載に、
書き下ろしを加えた待望の書籍化。
語られてこなかった女性歌人たちのレジスタンスを、
現代によみがえらせる。
『はつなつみずうみ分光器』の著者が挑む、
女たちの群像伝記エッセイ。
* * *
「きちんと目を向けさえすれば、ちゃんとわかることなのだった。
彼女たちの存在も、彼女たちの歌の価値も。」
――本書「はじめに」より
1949年、女性だけの短歌結社「女人短歌会」と歌誌「女人短歌」が誕生した。
戦後短歌において独自の場を築き、数多くの才能を送り出してきたにもかかわらず、
彼女たちの活動は十分に顧みられてこなかった。
短歌をはじめ、さまざまな表現領域に光を当ててきた著者が、
男性優位の世界に抗いながら独創的な歌を詠みつづけた女性たちの姿と作品、
知られざるシスターフッドの軌跡を、
時を越えて鮮やかに描き出す。
「この本を読むあなたたちへ。
彼女たちの声も歌も、
おそらく未来のあなたたちに捧げられている。
絡みあった複雑な旋律を、
どうか、耳を澄まして聴いてほしい。」
巻末には、登場する女性歌人たちの作品から著者が選出し、
一首評を加えた精選120首のアンソロジーを収録。
装丁:アルビレオ
装画:三岸節子
本文カット:朝倉摂
【目次】
はじめに
第1章 大西民子と北沢郁子
第2章 片山廣子と「物語の女」
第3章 斎藤史とコンスタンス・マルキエヴィッチ
補章01 アガサ・クリスティーと中島梓
第4章 北見志保子と川上小夜子
第5章 五島美代子と五島ひとみ
第6章 長沢美津と「女人短歌」
補章02 もうひとつの大西民子と北沢郁子、あるいはデーリン・ニグリオファ、ミア・カンキマキ、ケイト・ザンブレノ
第7章 中城ふみ子と中井英夫
第8章 穂積生萩と釈迢空
第9章 河野愛子と「アララギ」
第10章 葛原妙子と森岡貞香
おわりに
付録「をとめよ素晴らしき人生を得よ」アンソロジー
主要参考文献