内容説明
乗員数3400、その胃袋を支えた“厨房”の戦い!大和の“もうひとつの動力源”飯炊き兵たちの視点から世界最大最強戦艦の生涯を追う、戦場のドキュメント。
目次
最強戦艦誕生
大和の「台所」はこうして作られた
大和の食餌、朝・昼・晩
海軍・陸軍、料理はどちらが旨かった?
食にもあった階級と格差
大和の初陣ミッドウェー、烹炊所の戦い
上陸の甘い空気―ひとときの休息
トラック島の「大和ホテル」と「武蔵屋旅館」
「輸送船」大和に課せられた、さらなる食餌供給量
マリアナ沖海戦と握り飯
レイテ謎の反転とサバ缶の味噌汁
大和、幻の晩餐
時代の終焉
著者等紹介
青山智樹[アオヤマトモキ]
1960年生まれ。小説家、軍事評論家。食品衛生責任者の資格も持つ。東海大学理学部物理学科卒業。学生時よりSF同人誌「宇宙塵」に参加。1992年、長編SF『赤き戦火の惑星』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ようはん
23
戦艦大和の歴史と大和艦内からみた当時の海軍における艦内生活について食事を担当する主計科を中心に紹介した内容。陸軍や一般人に比べればまだ食事情は良いとはいえ、鉄拳制裁も横行する狭い艦内生活は経験したくはない。2022/03/22
ジャズクラ本
17
◎軍事系統にはあまり興味を持てなかったため、これまで殆ど読んでこなかった。そのためどんな本が面白いのか皆目見当がつかなかったが、最近の刊行で適当に手に取ったこの本が非常に面白かった。機関であるはずの大和にどんどんと感情移入していく自分が不思議でならなかった。巻末に一次資料を含む参考文献が掲載されているので、追々読んでいきたい。/日露戦争で海軍から脚気には麦飯が効くと進言があったにも関わらず、陸軍軍医部長の森林太郎(鴎外)が脚気細菌説を唱えたため脚気患者の増大が続いた/宇垣纒「戦藻録(せんそうろく)」2019/10/26
ごいんきょ
15
いくつか用語の間違いがあり、気になりました。2020/07/23
とろりんとう
7
お気に入りの方が読んだ本。戦艦大和を、その台所から見る本は無く、新しい視点。3,000名前後の食事を作る為、最新鋭の効率的な調理器具が導入された他、風呂の様な釜、海軍の方が陸軍より旨い訳、大量の握り飯を作り、それを配膳する苦労など目に見える様だった。とは言え、大和の建造から沈没までの戦果の流れも記載され、「海戦は敵味方双方が海戦を行う意思決定が一致した時にしか起こらない」は、海の広さと艦船の小ささを感じる。大和乗組員は最期の銀シャリ(通常は出ない)の握り飯をどんな思いで食べたのか、胸が痛む。2023/02/05
breguet4194q
7
戦艦内の食事(本の中では食餌と表記してます)の事情について、戦艦大和だけでなく、海軍の戦艦全般からの情報です。ニッチな内容をよく一冊にまとめてるなと思いました。「腹がへっては戦はできぬ」と言いますが、3000人を越える兵隊の食餌の手配は、考えてみれば、えらい大変なことです。意外な側面を知れる一冊です。2020/08/08