内容説明
難民問題、テロ事件、差別の歴史…。世界は混沌としていて、人生はほろ苦い。だけどパリのおじさんは、今日も空を見上げる。軽くて、深くて、愛おしい、おじさんインタビュー&スケッチ集!
目次
1 おしゃれなおじさん
2 アートなおじさん
3 おいしいおじさん
4 あそぶおじさん
5 はたらくおじさん
6 いまを生きるおじさん
著者等紹介
金井真紀[カナイマキ]
1974年、千葉県生まれ。作家、イラストレーター。うずまき堂代表
広岡裕児[ヒロオカユウジ]
1954年、神奈川県生まれ。フリージャーナリスト、シンクタンク研究員、異文化間コンサルタント。フランス在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kanegon69@凍結中
128
パリに在住する実に様々な人種・状況のおじさんに体当たり取材で話を聞き出している。こだわりの強い職人のおじさん、おしゃれなおじさん、モンマントルで最後の一人の画家のおじさん。。中でもナチスドイツが暗躍した時代にユダヤ人一家の中で一人生き残ったおじさんの話は心に響きました。そしてベトナムから難民で来たおじさんに「人生で大切なことは?」と聞くと、「「いま、このときを味わうこと。大事なのは将来ではなく、今この瞬間に大事なものをちゃんと愛すること」と即答。人種のるつぼのパリはおじさん達の様々な想いで今日もある。2019/08/16
けんとまん1007
76
100人100様。人それぞれ、生き方があり、営みがある。喜怒哀楽を抱えながら、楽しむことというのか、楽しめることなんだろうと思う。表現の仕方は、いろいろあるし、だからいいのだと思う。何かやってみること、続けてもいい、変えてみてもいい、そこで一歩踏み出すことが、表情や佇まいになって表れる。果たして、自分はどうだろう・・・と考えると、楽しめている部分が多いのではと思える自分がいる。2023/08/13
コットン
69
おじさん達を愛らしく描く絵が素敵なitoさんのオススメ本。各々の人物像も上っ面で終わっていないのは、多分事前のリサーチがしっかりしているからと思われる。ルネサンス期の装飾品から草間彌生の作品まで世界中から依頼が来るという修理専門シズラー(彫金師)のフレデリックの話や、「絵の価格=画家の格付け」という芸術が経済に蹂躙されたと言っているモンマルトルの老画家アンリの話が心に残る。2019/12/01
よこたん
58
“バスの運転手さんでも、パン屋のレジ係でも、気持ちよくはたらいている人には、独特の光がさしている。” パリじゃなくても、思わず目で追ってしまう佇まいのお方、いるいる! 勝手な先入観でいかにもフランス人的風貌のお洒落さんを集めているのかと思っていたらいい意味で裏切られた。インタビューとおじさんのスケッチ画は、どの方も個性的。肌の色も、いでたちも、年代も、出身地も、暮らし向きも、背負ってきた歴史も様々だけれど、みんな現在を生きている。難民・移民問題や、特にユダヤの「隠れた子ども」だった人の話には胸が詰まった。2018/05/14
ぶんこ
57
案内をされた広岡さんの編集後記に「この旅は、人間というもの、生きるということの破片を集める旅だった。」と書かれていたのが、この本をよく表しています。単なる街のすてきなおじさん紹介ではなく、移民、難民、宗教、民族の違う人々が多く住んでいるパリならではの問題が浮き彫りになっていて驚きました。「人間には人を憎む気持ちがある。権力者がそれを奨励する」というユダヤ人(隠れた子ども)の生き残りのご老人の言葉が胸に刺さりました。憎まず「人は変われる」と受け入れて仲良くできることに感動しました。2018/12/31