内容説明
妖気漂うほの暗い情念。戦前を色濃く反映する傑作!自筆原稿によるオリジナル版『鬼火』を併録。
著者等紹介
横溝正史[ヨコミゾセイシ]
1902(明治35)年生まれ、1981(昭和56)年没。大正期より執筆活動を始め、伝説の雑誌「新青年」編集長として江戸川乱歩に名作『陰獣』を発表させるなど編集者としても活躍。戦後まもなく『本陣殺人事件』『蝶々殺人事件』という傑作長篇を発表、前者で第1回探偵作家クラブ賞(現・日本推理作家協会賞)を受賞する。以後『八つ墓村』『犬神家の一族』など名探偵・金田一耕助を主人公とする名作群で、探偵小説界の第一人者としての地位を不動のものに(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
62
「鬼火」「蔵の中」とそれと同時期に書かれた浪漫溢れる上諏訪時代の諸作、並びに中編「塙侯爵一家」「孔雀夫人」を収録。最初の二編は数多い著者の諸作、いや自分の今まで読んできた中でも頂点に達しているような出来だけど、今回読み直してその感を新たにする。「かいやぐら物語」の月光の魔力、「面影双紙」の大阪のねっとりとした夜の闇、それらの空気が文中から流れ出してきて酔うような読み心地であった。中編二編は今回が初読。サスペンス風味の前者と本格的な後者、ちょっと穴を見つけたけどそれでもこの時代の探偵小説らしさを満喫できた。2018/04/19
keroppi
58
先日、「角川映画シネマコンサート」で上映された「犬神家の一族」の映像で、横溝正史さんが宿屋の主人として出演されているのを見た。それを機に横溝正史作品を読みたくなった。この短編コレクションは、現在刊行中で、図書館予約でちょうどやってきた。第1巻は、まだ来ていないけど。「犬神家の一族」が公開された頃、角川文庫でほとんどの横溝作品を読んでいたはずなのだが、ほとんど忘れていて、新鮮な感動を得た。愛憎入り乱れるミステリは、何とも醜く美しい。2018/04/18
ぐうぐう
27
「私はいろいろな理由によって、『鬼火』以前の自分と、それ以後の自分に劃然たる一線を引いておきたいと思っているものである」横溝正史にとって『鬼火』は、特別な作品なのだ。それは、闘病の末に完成させたという背景を抜きにしても、作品を読むことで充分に伝わってくる。横溝の執念が凄みとなって、物語を貫き、読む者を圧倒するのだ。それほどに『鬼火』は素晴らしいミステリだ。続く『蔵の中』は学生時代に読んで以来の再読となったが、「こんなに面白い作品だったか!」と、改めて膝を打ってしまった。(つづく)2018/03/26
山猫
7
日下さんのページのみ。表紙を並べると一幅の絵になる趣向らしい。2018/11/11
まさ☆( ^ω^ )♬
6
短編コレクション第2弾は、表題作品の「鬼火」2バージョン、「塙公爵一家」「孔雀夫人」の中編4本と、短編5本の9作品収録です。どれも面白い!「塙公爵一家」が一番面白かったかな。短編集は他の長編を読んでる合間にツマミ読みするのですが、横溝正史作品は面白くて止まらなくなってしまいます。2021/03/08