内容説明
この事実発見までの長い道のりと、治療薬、グリベック開発にまつわる研究者と製薬会社の対立と苦悩の物語を追いかけたノンフィクション。1959年、染色体自体が解明されておらず、調べる器具もなかった時代に、偶然の重なりから遺伝子の変異とがんの発生の関係が見つかる。そこから今日までの長い研究と治療薬開発の物語がはじまった。
目次
第1部 染色体と疾患―一九五九~一九九〇年(最初の手がかり;三〇〇語 ほか)
第2部 合理的設計―一九八三~一九九八年(医師になり、そして科学者になる;タンパク質を薬の標的にする ほか)
第3部 臨床試験―一九九八~二〇〇一年(できるだけ早く答えを;二〇〇ミリグラムに達する ほか)
第4部 その後(価格の問題;弱点が現れる ほか)
著者等紹介
ワプナー,ジェシカ[ワプナー,ジェシカ] [Wapner,Jessica]
ヘルスケアと医療に関するフリーランスのサイエンスライター。ブルックリン在住
斉藤隆央[サイトウタカオ]
1967年生まれ。東京大学工学部工業化学科卒業。化学メーカー勤務を経て、現在は翻訳業に専念(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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橘
3
思いがけず本格的な内容だ。丹念な取材には頭が下がる(話を聞くだけでも大変だったろう)。企業側がやや悪者扱いだが、彼らにも言い分があるはず。また、タンパク質を標的にするという概念は、これからの医療でますます重要になるだろう。この部分だけでも読む価値あり。2016/01/22
vonnel_g
3
1950年代にある研究者が染色体異常を見つけてから、それに起因する希少疾患である慢性白血病の治療薬(なんと完全寛解がある!)を手にいれるまでの物語。また、目の前の患者を救いたいと熱望したひとりの医師をめぐる物語でもある。科学上の発見は膨大かつ地道な研究の上にはじめて築かれるものなのだ。がん治療はこんなことになっているということを知る上でも興味深い1冊。2015/11/24
takao
1
慢性骨髄性白血病のはなし2017/01/08
のぞみ
1
非専門家にはハードル高め。2015/10/10
海野藻屑
0
ガンの再発を阻止するには遺伝子を変えてしまえばいいと。2017/05/03